ポイントの語、文字から受ける印象

「靴おとが遠ざかりつつ雨音に重なり消えてまぁいいかって」(nanamiさん2001年10月30日) いいですねー。特に結句が出色。イメージを鮮明にするには、「廊下」という語がほしい・・・。(「おと」は漢字がいいですね、「音」。ポイントの語ですから。文字から受ける印象も大事です。) 添削・改作 「靴音が廊下にひびき遠ざかり雨に消えゆき・・まぁいいかって」(nanami) これは、さながら映画の一場面 […]

推敲について

「幾たびも視点を変へて挑戦す数学のやうな歌作りかな」 (桐子さん2001年10月29日) ははは、参りますね。作歌・推敲が数学のようだとは・・・。 全然違いますよ。歌作りは「右脳」でやります。つまり感性ですね。それに、語学的ベースと、直感が頼り。数学は「左脳」でやりますね。緻密な論理・合理(理詰め)の積み上げです(背後に、 数学的知識のベースに結びついた直感の働きもあるにはありますが)。尤も、これ […]

語韻 余韻 について

「ぐっしょりと重たいものを持つ夢に目覚めて外に雨音を聞く」 (幸乃さん2001年10月28日) 初ニ句「ぐっしょりと重たいものを・・・」はどうですかね。「ぐっしょりと」濡れて重たい、なら解りますが。結句、「聞こゆ」なら添え書きどおりですね。「雨音聞こゆ」とするのです。初句の「ぐっしょりと」は結句の「雨」と繋がっているわけですね。だから、この語は捨てられない・・・。 添削・改作(梧桐): 「ぐっしょ […]

ポイントとなる動作を明瞭化するため

「同性にあくがれたことなどありませぬ 薙刀をもつ貴女を見るまで」(幸乃さん2001年10月24日) 「あくがれた」は「憧れた」で、「あこがれた」ですね。「吾焦がれた」というわけです。性的な意味はないのでしょうが、相手がサッチャーとかマリア・テレサとかオードリ・ヘップバーンとかではないので、なんとなく性的な匂いも感じてしまいます。そこがまたいいですね。よく詠めています。口語新仮名遣いで統一しましょう […]

歌の焦点

「『ソーラン!』の掛け声高く踊る孫の運動会に世情忘るる」 (すみえさん2001/10/20) この歌、気分は出ていますね。「運動会に世情」を忘れる、とするよりも、運動会で孫が踊っている姿を見て世情を忘れる、とした方がお孫さんに焦点が合っていいですよ。 添削・改作: 「運動会?掛け声『ソーラン!』響かせて踊る孫らに世情忘るる」 (すみえ)

視覚的にも美しい漢字

  「秋雨のまゝに暮れ行く庭隅に     しゅうめい菊のひともと明し」(幸乃さん2001年10月18日) 白花の秋明菊が群れて咲いているあたりだけ ぼうっと ほのかに明るくみえます。 「秋明菊」と漢字にしますと 「明」の字がふたつになるのでひらがなにしてみました ”白花の秋明菊が群れて咲いているあたりだけぼうっとほのかに明るく・・・”と添え書きにあり、歌では「ひともと」(一本)となっていますね。た […]

動詞で終わる

名詞止とか動詞止めとか、体言止とか用言止めとか言うけれど、歌の最後を締めくくるのにはどんな技法があるのかしら?どんなことに注意すれば良いの? 「発表会終えて緊張やっと溶け一口すする熱いコーヒー」 (あゆ子さん2001年10月1日) こうした場合は名詞止めより動詞で終わる方が、動作の余韻が読者に残っていいですよ。何の発表会かも入れたいところです。 添削・改作(口語新仮名遣い): 「コーラスの発表会終 […]

写生歌

「夜に舞ふ蝶といはむか蝙蝠の影の如くにむれて飛び交ふ」(桐子母さん2001年9月28日) いい主題ですが、描写がもう少しです。特に「影の如く」が効果的ではありません。何かの影の如く、なら分かりますが。この場面では、蝙蝠そのものが影なんですね。そのように詠むといいわけです。また、初句の「夜」も、昔なら暗黒を連想したのでしょうが、現代はそうと限りませんね。ネオンまたたく夜もあるわけですので。 添削・改 […]

やわらかさを出す

「一夏を咲き続けゐし百日紅秋空のもと青き実結ぶ」(すみえさん2001年9月28日) 庭に白色のさるすべりがほんとうに百日咲くように、ずっと咲いていました。歌を作るようになるまでは無頓着で、恥じいるばかりですが、一夏中咲いていることも気がつきませんでした。ただの写生ですが、自分が感動した事でしたので詠みました。 ははは。ただの写生ですか。単なる状況報告歌と活きた写生歌は違いますね。写生歌の場合、感動 […]

推敲の仕方

「幾千の群れなす魚のうろこかな銀にかがやく海のさざなみ」(桐子さんお母様2001年9月23日) きれいな歌ですね。このままでもいいのですが、いま少し起伏をつけると、印象がさらに強くなります。(「幾千」と「群れなす」がちょっと重複しますね。幾千といえば、群をなすことでしょうから。「海の」も言わずもがな、かな。「魚のうろこ」だと、断定しているのも、ちょっと気になっています。比喩としての断定的表現がない […]

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