4.推敲によって育て上げる

1/8ページ

使い古された言葉は避けたい

「櫛の歯の抜けるごとくに戸を閉ざしセピア色なす商店街は」(すずむし)買い物に出かける時、かつては賑やかだったろう商店街を通り抜けてスーパーへ行きます。私がこの町に嫁いで来た頃はまだ人影がありましたが、30年余の間に全く様相が変わってしまいました。時代の流れ、変化は止めようが無いんですね・・・これから20年後はまたどうなっていることやら・・・。(この歌は前に似たような歌を見たような気がします。その歌 […]

要らない言葉

「接骨院の電気治療は心地よくしばしまどろむ幸せ感じ」(つれづれ)お世話になっている接骨院の電気治療は気持ちよくて、ついついその間眠ってしまいます。よろしくお願いします。結句ですが、「至福の時間」とした方が 良いのでしょうか?  わたしは経験ありませんが、接骨院の電気治療はそんなに心地良いものですか。なお、「心地よく」という言葉が前にありますから、「幸せ感じ」も「至福の時間」も要らないでしょうね。添 […]

無言館 と 物言わぬ絵

「物言わぬ絵より顕ち来るメッセージたじろぎ聴きつ無言館出ず」(タイム)戦没画学生の絵を観て来ました。物言わぬ絵なのに。。。 あとで「無言館」という語が出てきますから、初句の「物言わぬ絵」は言わず、「戦没画学生の絵」であることを入れたいですね。 添削:「戦死せし画学生らの絵の霊気にたぢろぎにつつ無言館出づ」(タイム)

助詞について

「イマドキの女子高生となった子がまだ抱いて寝るくまのくんちゃん」(そよこ)高校生になった娘はおしゃれに気を遣うようになり、一層生意気にもなり、それなりに「イマドキの女子高生」的な外見になってきました。ですが、眠る時には幼い頃から一緒のクマのぬいぐるみ「くんちゃん」を必ず横に並べているのです(笑)。ずいぶん大人びてきたようでいて、幼かったころがそこにまだ垣間見える気がしました。親としては、子どもの成 […]

風の動きが出ると良いですね

「新春の風五重塔に吹き渡り東寺訪なふ人清め過ぐ」(玉章)運動をかねて、歩いて東寺に初詣に出掛けました。暖かい日でしたが、一陣の風が吹き渡り、お清めを頂いたような気分になりました。 もう少し風の動きが出るといいですね。いい歌になります。 添削:「新春の風ふき渡り東寺訪ふ人清め過ぎ五重塔越ゆ」(玉章)

語順を変える

「柔らかき若葉のかげり溢れおる上宮に立てば我が身とけゆく」(がんこきよ)数年前に写真を始めたころ、新緑の季節にカメラを持って、近郊の山に登り地元の神社の上宮に着いたとき、余りにも新緑が綺麗でその中に吸われていく様に感じました。添削宜しくお願いします。 これは数年前の、新緑の候の想い出なのですね。お作、語順を変えるとすっきりします。 添削:「上宮に立てば若葉の柔らかきかげり溢れて我が身とけゆく」(が […]

常套句は避けたい

「天をつく銀杏若葉のさ緑が古寺の空輝かしおり」(あおい)「スダジイの老木茂り主のごと小さき社は昼なお暗し」(あおい) 私の市では緑化啓発運動の一環として「市の巨木・名木マップ」を発行配布しています。この地図をもって家から一時間ほど散歩して、お寺や神社に堂々とそびえる木々に会いに行きました。ほんの一時間ほどですが、すがしい気持ちになって帰宅できました。 お寺や神社の境内はそれほど人の手を加えないゆえ […]

言いたいことが伝わるように

「中空に紋白蝶は幾重もの羽ばたきとなり耀ひにけり」(むぎぶどう) 目の前の少し高みを紋白蝶が飛んでいました。羽ばたきは日の光を受けて残像となり、美しく輝いて見えました。 美しく詠もうとされている姿勢は分かります。しかし、お作で「幾重もの羽ばたきとなり」は、この歌の作者であるむぎぶどうさんにだけ「羽ば...

類似の言葉に注意

「さらさらと心地よき音のせせらぎに秋雨降りて水音響く」(蛍窓) 家の前にある小川のせせらぎが心を癒してくれます。それも、 秋雨前線の停滞による雷雨によりゴーゴーと音をたてています。 お宅の前に小川が流れているのですか。佳き環境ですね。雷雨でゴーゴーと音立てるのはお困りでしょうが。。。お作ですが、「心...

語順

「羊水に眠れるやうにヴェネツィアの埠頭のよひに波音を聴く」(むぎぶどう) 昨日の先生の推敲歌を素晴らしいと思いましたので、もう一首詠んでみました。過去の体験をベースにしてはおりますが、想像をふくらませた部分もございます。日が暮れてしばらくの時間帯、雄大でありながらも人を包み込むような運河のイメージを...

1 8