歌に盛り込むべき最低限のものを明確にする

言わずもがな

「残業で枯れた心にしみわたる 鈴虫の音にしばし聞き入る」(ウッチー)野からあふれる鈴虫達の鳴き声が、疲れた体にしみこんでくる様に感じられ、しばらく聞き入ってしまいました。添削していただければ幸いです。 残業は大変でしょうね。まさか(しばしば問題になる)サービス残業ではありませんね?疲れた心を癒すのに、鈴虫の音は最適でしょう。。。お作の最後の「聞き入る」は言わずもがな、と思われます。 添削(新仮名) […]

固有名詞の羅列?

「アメリカの姉と交信パソコンと携帯ファックス三種の神器」(民子) アメリカに住んでいる姉が、用事があり3月に2週間ばかり帰ってきます。それに伴う事務連絡のため、頻繁に連絡を取らざるを得ない今日この頃です。それにしても、パソコン・携帯電話のメール・ファックスと本当に便利な世の中です。どうして海を越えて外国まで瞬時に届くのか摩訶不思議です。その昔は手紙1枚出すのに飛脚が走ったのに・・・などと考えていま […]

何を一番詠みたいかを押さえる

”父”へのご指導ありがとうございました。添削していただくことの喜び、なんともいえない幸せ感をおぼえました。そして、失礼ながらその洞察力の鋭さはさすが、、、、、、と、驚嘆しています。今日は、母へ、というタイトルで詠みました。自分の幸せを追うことに終始して母への思いやりを欠いてしまい、結果元気できれいだった母が病気で半身が不自由になってしまったという背景です。(母を一人ぼっちにさせてしましました。私は […]

効いていない言葉

「ひろらなる水仙卿に人の波やわらかな香り春の日に映ゆ」(千草) 先日淡路島の灘黒岩水仙卿に行ってきました、海に面した斜面に500万本の野生の水仙を観賞して参りまして、その情景を詠ませて戴きました。宜しくご教授下さいますよう御願い申し上げます。 「卿」は「郷」のミスですね。淡路島の灘黒岩水仙郷には水仙が500万本も、しかも野生で、観られるのですか。すごいですね。ただ、お作で「やわらかな香り春の日に映 […]

推敲の仕方

「庭に咲く深紅の薔薇を切りてきてその一輪をお供へとせり」 (白嶺さん2002年10月30日) 母の祥月命日に、真っ赤に咲いている薔薇を供えました。母は薔薇と苧環が大好きでした。 この歌を読む限りにおいて、よく解りますし、これでいいと思えます。しかし、添え書きの趣旨を詠まれたものとすれば、物足りません。それは「母の祥月命日」が抜けているからです。これを入れることで歌がぐんと身近に、しかも深みを帯びま […]

推敲の仕方

「雲間より光りのシャワーが降り注ぎ見下ろす琵琶湖は輝きを増す」(ゆう子2002年9月24日)  歌は、伊吹山の標高1260メートル地点にある駐車場から周囲を見渡したときの感動で、とくに琵琶湖が予想以上近くに見え、傾いた日の漏れ陽をたまたま受けて光り輝く姿が見られて、得も言えぬ美しさだった。それを詠んだのだね。「光りのシャワー」と名詞で使うときは、たとえ口語新仮名でも「光」でいい。(他によく誤用され […]

推敲の仕方

 「雨上がり しずかなる朝 迎えおり 花つゆ含み 葉はみどり濃く」 (あゆ子さん2001年7月23日) 空梅雨で心配していたときで、恵みの雨になりました。 これでもいいですが、添え書きのように空梅雨で恵みの雨だということを入れたいところです。そうすると後半が一段と生きてくるので。 添削・改作 「空梅雨を嘆くに慈雨がしばし降り花の朝露もろ葉のみどり」 (あゆ子) (もろ葉=諸葉;いろいろな樹木の葉)

推敲の仕方

「梅雨月夜ピアスを片方落としたの見つかるはずなのもう少しいて」 (nanamiさん2001年7月13日) ピアスとあるから、若い女性ですね。添削には最小限の情報が必要でしてね、若いかご年配かくらいは知らないと。(最近は青年男子もよくピアスをしていますね。しかし、歌の感じからは明らかに女性。) この歌、ピアスをうっかり落としたので、デートの相手を待たせて、月明かりを頼りに探している、という情景ですね […]

推敲の仕方

「報われぬ道と知りつつ歩みゆくや老女の姿吾に重なる」 (山口須美さん2001年7月13日) この歌,状況が分かりませんね。つまり,老女が歩いている目的がはっきりしません。ですから,何がどう報われないのか不明ですね。したがって,最後の心情表白も生きてこないのです.歌に盛り込むべき最低限のものがあるわけです。その点に注意して,もう一度詠み直してください。 50歳の半ばになり、日々老うることの怖さと老後 […]