表意文字としての漢字の特性

「やはらかきひかりさしこめる窓辺にて検水管を透かしつつ見る」(幸乃さん2001年9月17日) 「検水管」はあまり一般には使わない語ですね。水を使う装置などで、水量や水の状態を目で見て検査・調査するために付けられた透明なガラス管ですね。それを秋の柔らかい日差しに透かして見ているのですね。幸乃さんの仕事の一端がうかがえそうです。「さし込む」は「射し込む」とも,「差し込む」とも書きます。前の方が一層強い […]

写生歌

短歌を始めて作ろうとすると、まず今日見てきた綺麗な景色やお花のことなどを歌にしたくなりますね。そんな写生歌の作歌のポイントは? 写生するにはそれなりの動機があるわけです。つまりその情景になんらかの理由で感動し、短歌の形にしてそれを読者に伝えたいという動機があるわけですから、動機の質と、短歌に詠みこむ時の工夫で、単に写生と見える短歌にも読者は十分感動を覚えるものです。それがかってのアララギの人たちが […]

固有名詞の使いかた

「何時の日に旅は始まり何処にて旅は終わらむサロベツの野よ」 (酔狂さん2001年8月15日) 「サロベツ原野」は観光スポットになっていて、サロベツから原野を連想することは容易であろうということ、と「原野」のイメージも、まぁ、人によるイメージの違いはすくないだろうという期待を基にしていますが粋狂の勝手な思い込みかもしれません。 これは概念歌ですね。ちょっと掴み所がありません。最後のサロベツという固有 […]

推敲について

夕ぐれて夏虫に混ざりこうろぎのひそかに鳴きて我秋を知る (桐子さん2001年8月13日) やはり何がしかの古色が感じられますね。特に結句かな。 添削・改作(梧桐): 「この夕べ夏の虫鳴き蟋蟀も唱和するかな もう秋なんだ」 (桐子) 結句だけ口語(独り言、会話体)として、気持ちを素直に出してみました。 このように、作歌にもさまざまな手法があり、その可能性は無限と言えます。

固さ柔らかさ

炎天や他に音なき蝉時雨人目も草も静まり返りて(桐子さん2001年8月5日) 「他に」は、一読で「たに」と読まれないように、「ほかに」とひらがなが良いですね。また「人目も・・静まりかえりて」はちょっと変です。人目を気にする、人目を憚る、などと言いますが、やはり音ではなく「目」が主体ですから。「他に音なき・・・静まりかえりて」も言葉が重複しています。短歌は字数が限られていますから、こうした無駄は極力避 […]

推敲の仕方

「涼やかに語る尼僧の影ゆれて み堂に漏れ来る光 幾すじ」 (かすみさん2001年7月31日) またまたいい視点ですね。これは前後を逆にした方がいいでしょう。 添削 「光・風 み堂に差しきて涼やかに語る尼僧の影ゆれにけり」 (かすみ) 風を入れることで影の揺れが理解され、前後を入れかえることで尼の影が絞られてきました。尼の影と、光の射し具合の二つを主張したのが無理でした。 ありがとうございました。

花の名前を特定する

「小花なれど季節を追うて咲く花は武骨な父の遺せし命」 (桐子さん2001年7月28日) この花の名前が知りたいですね。歌に詠み込むのです。返事待ちます。添削はそのあとで。 大袈裟な花ではありませんが今の時季は百日草、キバナコスモス、マリーゴールド、千日ボウズ? が咲いています。特に手を懸けるというわけではないのに毎年花を咲かせます。実は私も花の名前を入れたほうが良いのか迷いましたが・・・。 詠みな […]

推敲の仕方

夏になると小さなクチナシの木は丸坊主になります。見れば揚羽の幼虫が元気よく葉っぱを食べています。あげはちょうをみると心が和みます。 「ひらひらと クチナシの木に 舞うあげは ふるさとの香を 探しあてしか 」 (あゆ子さん2001年7月24日) ひらひらと舞う,というのはいかにもその通りですが,あまりにも言い慣れた言葉ですね.もう少し工夫がほしいところです. 添削・改作 「揚羽蝶くちなしの木に纏はり […]

推敲の仕方

 「雨上がり しずかなる朝 迎えおり 花つゆ含み 葉はみどり濃く」 (あゆ子さん2001年7月23日) 空梅雨で心配していたときで、恵みの雨になりました。 これでもいいですが、添え書きのように空梅雨で恵みの雨だということを入れたいところです。そうすると後半が一段と生きてくるので。 添削・改作 「空梅雨を嘆くに慈雨がしばし降り花の朝露もろ葉のみどり」 (あゆ子) (もろ葉=諸葉;いろいろな樹木の葉)

推敲の仕方

 「池の面に淡きピンクの蓮の花ポンと音たて開く花びら」 (栗太朗さん2001年7月21日) 毎日30度を遥かに超える猛暑が続いています、半ズボンとランニングシャツで頑張つています、こんなとき私の近くに蓮池が有りそこで蓮の花のポンと音立てて花の開くのを木陰から時たま渡つて来る風に涼しさを求めながら、その瞬間を見るのも又た一風の味があります。 「の」が重なり過ぎですか風景詠は難しいです、まだまだ私には […]

1 26 27