言葉を大切に!

一字一字を大切に吟味したい

「想いでは夕焼けのように焼きついて母と子の笑顔が雲に浮く」(伊那佳) 今日は介護認定5の母を見舞いました。昨日より雪が厚くなった仙丈ヶ岳、散りゆく紅葉の寒々しい風景を見ながら向かいました。心が重くなり時々車を止めて夕焼けを見つめました。2人暮らしは寂しく、賑やかに暮らした時の家族の笑顔が雲のように浮かびました。施設で車椅子になり6年目の認知症の母、亡父、遠方の子らを思うと昔が懐かしくなります。 つ […]

主格の「が」と「の」

「鉢底に小さきトカゲが潜みゐし木枯らし1号の吹きし真昼に」 (mukugeさん2003年10月27日) この秋一番風が強かった日のこと、庭隅の鉢底にまだ生まれたてのような小さなトカゲの子が蹲っていました。親とはぐれたのか、この冬を無事に越せるのか、心配です。日だまりの土に下ろしてやりました。 「トカゲが」を「の」にしていましたが「1号の」と重なるので「が」にしたのですが、「が」と「の」の使い分けが […]

「おり」

「春の雪にまどゐしリスが餌箱に逆さになりて餌ほおばりぬ」(渓水さん2003/04/10) フリージングレインfreezing rain ですか。経験がなく、聞いただけで身震いが出ます。4月というのに、寒いのですね。(ニューヨークも雪だとか。テレビでは、MLBの選手たちが白い息を吐きながらプレーしていました。) 添削: 「春雪にまどへるリスが餌箱に逆さになりて餌(ゑ)を頬ばりをり」(渓水) 最初「餌 […]

「おり」

「クレーン車を遮る桜の花枝が無造作に切られ雨に濡れおり」(mukugeさん2003/04/03) 工事優先、ということでしょうか。おそらく立派な桜。切るには惜しい枝ぶりだったことでしょう。その上、花枝とあるから、咲いた花をつけたままなのですね。なお、最後の「おり」ですが、旧仮名なら「をり」、新仮名なら「いる」とでもして下さい。「おり」と言う語は元々存在しませんので。これが世に氾濫していることは事実 […]

「おり」

「透かし見る袋の中の小さき梨すき間をうめつつ秋を待ちおり」(桐子さん2002/07/22) 添え書きでなるほど、です。つまり、まだ小さい梨の実が袋で包まれていて、それが日光に透けて見えており、あとは想像で、実が大きくなるにつれ、袋と梨の間の隙間が埋められて行くだろうという発想ですね。捉えどころに妙がありますが、少し理屈っぽいかな。  結句の「おり」ですが、もともと文語の「をり」で、これを口語的に「 […]

清々しい

「川岸の鳥のさえずり聞きおれば雲のたれたる朝も清しき」(由里さん2002/07/04) この時期に鶯の声が聞こえるなど、こちらでは考えられません。いいところにお住まいですね。もちろん、ちょっと山手まで出向けば、夏でも鶯が鳴いていますが。。。いい環境ですから、いい歌も生まれ易いですね。まさに清々しい歌です。結句は「清けし」または「清明けし」(さやけし)がいいでしょう。「清々しい」はあっても「清しい」 […]

清清しい

「小雨やみ伸びし雑草抜きおりぬ春草すがし匂ひの中で」(隆子さん2002/04/07) 文字通り清々しい歌です。「すがし匂ひ」は「すがしき匂ひ」でしょうね。その前に、「すがし」という形容詞、漢字では多分「清し」なのでしょうが、またおそらく「すがすがし」から来ていると思われますが、これは本来無い言葉です。つまり、「すがすがし」はあっても「すがし」は無いのですね。これも皆よく間違えます。例えば、例の有名 […]