7.その他

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用言止めは動きが続く

 気丈夫に居酒屋(みせ)を守りし女将(おかみ)なれど  肺炎病みて寂しき言葉          (迷倫さん2002年) いつも快活な女主人ですが、肺炎を患らったとたん意外に弱音を吐きました。 終句は「言葉寂しき」の方が流れが良さそうですが「言葉」を強調するため敢えて体言止めにして見ましたが如何でしょうか? 現にまだ「みせ」を守っておられるのですか、それとも病気のため店じまいされたのですか?「守りし […]

コロコロリ

「コロコロリじゃが芋堀て紫のサラダじゃが芋色鮮やかに」 (夢子さん2002年7月6日) ハハハ、よろこぶ夢子さんが目に見えるようです。擬音語が生きています。 色は赤いのですか、紫なのですか。上の添え書きでは赤、歌では紫。きっと赤紫なのでしょうよ。 添削: 「コロコロリ サラダじゃが芋紫の色鮮やかに転がり出てくる」(夢子さん)

擬音語を加えて添削

「音もなく青虫食める迅きこともし聞こゆればさぞ響くらむ」  (桐子さん2002年6月17日) 青虫がクチナシの木の葉を食べてしまうのですね。それも迅速に!たしかに、そんなことで花が咲くものか心配になりましょう。いや、蕾があるのだから大丈夫なのでしょうが。  この歌、「もし聞こゆればさぞ響くらむ」が意味をほとんど成さないのが惜しいですね。「もし聞こゆればいかに響くや」ならいいでしょうが。 添削: 「 […]

擬音語をはぶいて添削

「ポクポクと砂利石鳴らす雨のつぶ足音に似て外のぞきみる」  (桐子さん2002年6月15日) これは雨だれの音ですね。初句「ポクポクと」は木魚の擬音語としてよく用いられますから、ちょっとまずいでしょう。それが、帰りを待つ子供の足音にも聞こえるのですね。 添削: 「雨だれの砂利石打てる音がふと吾子の跫音(あおと)に聞こえ外見る」 (桐子)

尻切れトンボ?

「緑茂る公園のほぼ真中に居る鳩を追い子らと共に」 (沙子さん2002年6月10日) 鳩はすっかり人に慣れていて、人が近づいても平気ですね。神社や公園の鳩は特にそのようです。日本では平和のシンボルとして大事にされますからね。一方で、団地などでは鳩の糞公害が問題になっていますが。あおぎりの職場でもそうで、建物全部を白い網で覆うなどして、鳩が寄れないように防御したりしているのですよ。  この歌、後半が尻 […]

歌の焦点

「徘徊で車に跳ねられ逝きし君の墓標抱(いだ)きて喪章の揚げ羽舞う」 (迷倫さん2002/05/04) 短歌は字数制限がありますから、主に何を詠いたいか、を絞り込むことが必要です。それを前面に出して、あとはその主題が目立つような語句の斡旋をする。いいたい事を2つも3つも入れますと、焦点がボケて、読者に伝わる感動も、訴える力も弱くなります。この歌にもそれが見うけられますね。前半と後半で少なくとも二つの […]

語韻 余韻 について

「うす青の空を見つめる静かさに花と散りゆく春物語」 (きょうこさん2002年4月29日) 美しい言葉の斡旋ですね。まさに短歌、という感じがします。語感もいいですし。「うす青」としたのは、春霞を意識したのでしょうね。また、「空を見つめる静かさに」(静かに空をみつめること?)と続くのか、「空を見つめる」で小休止するのか、微妙ですねぇ。結句の「春物語」が少し解かり難いですが、「春に生起する(春に相応しい […]

語韻 余韻 について

「儚きは花のみにあらず ひとひらをうかべて恋し夫婦湯のみに」(桐子さん2002年3月29日) しんみりとした、いい歌ですね。「湯呑」だけではなく、そこに一片の花弁を浮べるなんて、心憎いですよ。それに前半が共鳴して、すばらしい。。。ほんの少しだけ添削を・・・ 添削: 「儚きは花のみにあらず ひとひらをうかべて切な夫婦湯呑の」 (桐子) (「切な」は語尾を上げて。「刹那」ではありません。「切なき」の「 […]

語韻 余韻 について

「想い出の義母の遺せし桜花たまゆら揺れて花の散る迄」 (夢子さん2002年3月23日) 義母さんと何年一緒に生活されたのですかね。 義母さん手植えの桜ですか。どの程度成長しているのでしょう。 吾が職場の裏手に20年前に若木で植えられた桜並木があります。今は立派に花を咲かせます。(今年はまだ今のところ蕾状態。ちょっと遅れ気味?)それで想像していいのかな。  この桜はもう咲いているのですか。去年までの […]

固有名詞と添え書き

「ガリンコ号の行く手に群なすオジロワシ鋭き眼で一点を見つむ」 (白嶺さん2003/03/08) ガリンコ号は流氷観光船で、氷をガリガリと砕いて進むからこの名があるのですね。確かに<ガリンコ号>では意味不明と感じる読者もいましょう。しかし名は体を表すの諺どおりのこの名称も捨て難いです。そうした場合は、こうした特殊な語は、歌のあとに簡潔な説明を付けるといいと思います。こうした(名がそれほど流布していな […]

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