推敲の仕方

「梅雨月夜ピアスを片方落としたの見つかるはずなのもう少しいて」 (nanamiさん2001年7月13日)
ピアスとあるから、若い女性ですね。添削には最小限の情報が必要でしてね、若いかご年配かくらいは知らないと。(最近は青年男子もよくピアスをしていますね。しかし、歌の感じからは明らかに女性。)
この歌、ピアスをうっかり落としたので、デートの相手を待たせて、月明かりを頼りに探している、という情景ですね。
初句「梅雨月夜」、苦労して探しあてた言葉かも。これまでにない表現、新しい表現です。今年は空梅雨で、月夜も珍しくなかったわけですが、短歌の常識的語法からは、やはりちょっと無理かな、という感じがします。雨の文字が入った「梅雨」という季節用語は、やはり雨天をどうしても連想させてしまうのです。
また、全体的にも語の運びがちょっと滑らかさに乏しいかな。例えば「片方」とわざわざ言わなくてもいいのでは?同時に両方を落とす確率は低いから。このように筋立てて考えて行き、無駄な言葉をなるべく省いて.真に言いたいことに焦点が当たるように組み立てるのです。
こういうと、大変そうですが、いやなに、数多く歌い込んで作歌に慣れてくると、自然にそのようになってゆくものです。
今回が最初だから、これ以上あまり難しいことは言いません。
ちょっと起伏を付けるようにしてみましょう。
添削・改作
「雨季だから潤んだような月明かり 落としたピアスあなたも探して」 (nanami)