5.文法などについて

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ヤ行の動詞

「人の世に憂ひなければ歌はなく心なくして人は絶へなむ」(劫) 大袈裟な物言いかもしれませんが、世の中に「憂」というか「負」があるからこそ、美しいものが感じられ、芸術が生まれるのではないかと思います。もちろん、何事もない全くの平穏な日日は素晴らしいのかもしれません。ただ、そんな世の中を想像したとき、人...

残らむ 残るらん

「白木蓮(はくれん)の太古の花よ わが内の花もとこしへに咲(ひら)き残らむ」(麻里子) 白木蓮シリーズはこれでおしまいです。無理の多い歌を御指導くださいまして,どうもありがとうございました。木蓮は地球上で最古の花木で,今のような姿をとどめる一億年以上前の化石が発見されているそうです。個体としては落ちやすい花としながら「とこしへに」咲くというのはおかしいでしょうか。また,「(未来の時点で)咲き残って […]

漢字の使い方

「天城路に木々の芽吹きの音聴こゆ、たゆとう光りに山動き出す」(宋見) 「 光りあふれ木々に芽吹きの音を聴く天城は浅き春にざわめく」(宋見) 2月末、天城峠を越えると伊豆の海からの光りが鮮やかに山を照らし、木々の芽吹きの音が聴こえてくるように感じます。冬の眠りから山が目覚めのときを迎え、風にざわめいています。浅春の天城越えの楽しさです。 天城山と聞けば国定忠治を、また天城越えと聞けば同名の演歌(唄・ […]

語順を変えてすっきりさせる

「梵焼の煙立ちゐる立木寺に来し方謝しつつ護符を焼べる」 初詣でに去年のお札を納めに行きました。その時にお札を寺庭のおいて 感謝を込めて燃やしました。立木寺は厄避けの観音寺です。 宜しくお願いします。 「初詣でに去年のお札を納め」、それを焼くことを梵焼(ぼんせう)と言っておられますね。最後の「焼べる」の読みは「くべる」ですね。炉に薪をくべる、というときのそれ。ただ、「焼べる」(正しくは「焼ぶる」)で […]

動詞の連用形が名詞として使われるとき

「雲間より照る日の光り少なかり風も冷たく冬の憂鬱」(広) 南国で育った私にとって冬は苦手です。雨や曇りの日が続くともう日が照ることはないのかと大げさに反応して太陽を乞います。天候が悪いと気持ちもブルーになります。なかなか歌か上達しなくてすみませんが、お教えください。 冬が苦手とのことですが、大体、人は夏よりは冬が嫌いでしょう。天気が悪いと、気分がブルーになるのも、人一般の現象ですね?お作で、「光り […]

新・旧仮名の混交は避けたい

「向かい家の電話のベルの止まざりてなんだか寂しく思える真昼」(お仙) 私の住んでいる団地は、あまり物音のしない団地です。特にお昼時は。そんな時、前のお宅から電話の音が聞こえてきました。ああ、お留守なんだと思いつつ、受け止める相手のないベルの音が虚しく聞こえました。 「止まざりて」とは?旧仮名にしても変ですし、ここだけ旧仮名というのはいただけません。一首の中での新・旧仮名の混交は避けたいものです。読 […]

「とう」「とふ」(2)

「階下には来店客が在りしとうチャイムのように珈琲香り」(夏子) 私の住まいは一階が店舗,二階が自宅になっています。夫が先に店を開け、私が二階で家事や身支度などをしていると、珈琲の何とも言えぬ良い香りが漂ってきます。「お客様が来ましたよ」と知らせてくれるチャイムのように。。。以前「とう」についてご指導を頂きましたが、「と言う」の意味で詠んでみました。このように使うので良いのでしょうか?宜しくお願いい […]

サ行四段活用の動詞につく過去(回想)の助動詞「き」

「宝石を凌ぐ輝き籠りをりポンペイの医師遺しし器具に」(紗柚) ポンペイ展に行ってきました。紀元一世紀のものとは思えない遺品の数々に驚かされました。一瞬にして平和で豊かな暮らしを奪ってしまった災害、どれほど恐ろしかったことでしょう。人々が避難し息絶えた所から多くの財宝が出てきたということですが、医師と思われる人の傍らで見つけられた医療器具の一式が展示されていました。メスやピンセッなど現代の物と変わり […]

自動詞「見ゆ」

「成人の孫と寿ぐ屠蘇の膳幼時のしぐさ残れしを見ゆ」(比叡) 今年の初め成人になったばかりの孫が正月に来ました。お祝いをしましたが、小さいときのしぐさを垣間見ました。結句の残れしを見ゆはこれでよいでしょうか。宜しくお願いします。 「残れし」は文法的にミスで、「見ゆ」は用法として不適切です(これは「見える」意味で自動詞ですから「を」を受けるのは変。他動詞「見る」「見き」「見ぬ」ならいいですが)。ともか […]

「とう」

「道産子の米は王者を抜き去りて生産一位の星に輝く」(夏子) 添削: 「道産子の米は王者を抜き去りて生産量で一位になりしとふ」(夏子) 添削有り難うございました。   私は短歌独特の言葉の使い方がまるで分かりません、『とふ』は『と言う』で良いのでしょうか?短歌を読んでいますと、『とう』と言う言葉をよく使われますが同じ意味なのでしょうか、又、どのような時に使うとよいのでしょうか? このお作は旧仮名の短 […]

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