生活詠

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薄墨桜、イラク

  • 2004.04.16

岐阜・根尾村に薄墨桜と根尾断層をゆう子と共に観に行きました。 「千五百年薄墨桜は生き延び来て清き老醜を今に晒せり」 (沖縄・屋久島の縄文杉は樹齢7,000年を超えるとされますが、これは別格。杉はもともと長寿の樹木で、逆に桜はせいぜい樹齢100歳とされますから、1,500歳というのは奇蹟ですね。) 「老桜(らうあう)は厳(いか)つき幹より球形に枝張り宇宙に花漂はす」 「散る花の風に流るる様の佳し老衰 […]

今日の二首

  • 2004.04.12

「散り急ぐ花びらを継ぎ現はるる桜若葉のさ緑の花」 「街中(まちなか)に御衣黄を撮り菜の花や桃も稚葉(わかば)のさ緑も撮る」

今日の三首

  • 2004.04.10

「花びらのひとひら気流に揉まれしがやがてしとどにもつれつつ舞ふ」 「身震はせ花とふ虚飾を振り払ひ急ぎ葉叢へ自己韜晦せむ」 「紺碧の空ふかぶかと切り裂ける白刃(しらは)となりて飛行機雲伸ぶ」

今日の5首

  • 2004.04.09

「プランターに砂浴びをなす雀あり土なきゆゑのこのいぢらしさ」 「幾万の桜観けむやこの春は渺渺としてわれ日本人」 「ひた土に萼ごと落ちしさくら花とり来てグラスに浮かす妻愛(は)し」 「朝に観て昼に夜にも観し桜ゆゑに眩暈(めまひ)し妻かき抱きぬ」 イラク人質事件: 「沈思して翳しのび寄る胸内(むなうち)に花はふぶきて乱れかがやく」

今日の一首

  • 2004.04.04

「茫漠の闇の狭間に一瞬のみ<生>は切なくいぢらしく輝(て)る」 {解説:「遺伝子の二重螺旋の分子鎖のぴらぴらとしてかなし受肉は」とか、「遺伝子の二重螺旋の分子鎖が騒立ちし日に受肉せし身か」とかは、梧桐の旧作です。また、梧桐がかってここにも書きましたように、この自分という生き物は、受精するまでは何もなかったわけで(それまでは無限の闇)、死んで無に帰するのは(それ以降も無限の闇)、ごく自然の成り行きで […]

今日の二首

  • 2004.03.21

「朝早くもの音すでにたつ中にかすかに交じる救急サイレン」 「裏町を散策すれば家ごとに咲かす花々季節あざやか」

昨夜の一首

  • 2004.03.19

「まなうらに幾つ矩形の影うごめく海馬に巣食ふ雑菌なるべし」 ご心配頂き恐縮しています。本人は至って健康そのものです、ハイ。歌というものはしばしば虚の世界を創りますので。

今朝の一首 

  • 2004.03.19

「朝五時に消防サイレン疾走す行く手に千本桜燃えゐん」 消防車がサイレンを高々と鳴らしながら、桜の名所(わが街を貫く大江川両岸)方面へ疾駆していくのをベッドの中で聞いていたわけです。ですから、「千本桜燃えゐん」は一種の比喩的表現で、満開の桜並木がイメージとしてあり、それゆえに「消防サイレン」に対して「燃えゐん」で受けたものです。桜の名所は東方にあるので、朝日の逆光のなかに咲き盛る桜が眼に浮かんでいた […]

昨日の一首

  • 2004.03.19

「己とは現象なりと自覚せし宮沢賢治にわれ感応す」 (付け足しの独り言ですが・・・。食べ考え眠り働き物を書く自分というものも、その行動も、自然現象の一つだという自覚。頭での理解ではなく心底そう覚ったが故に、賢治はあらゆる動植物に、心底から、自分とまったく同等の命を見ることができた。いや、風にも水にも、あらゆる物に命を感じることが出来た。(頭ではそうだろうと理解しても、観念的には解かっても、心底からは […]

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