生活詠

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今日の歌

  • 2004.04.30

「つばくらめ二羽電線に寄り添へる 青春ならむと妻にささやく」 「さ緑の楓若葉を這ふ虫のちひさき影が照る日に動く」 「群雲の動くにつれて翳りゆく新緑の森は日を待ちて撮る」 「あはあはと浮かぶ雲さへ染まりゆく青天上の包容力よ」

今日の歌

  • 2004.04.29

「地蔵寺も湿潤の若葉溢れゐてわれは釈迦涅槃石像を撮る」 「澄む空に真綿のやうな白き雲さやかに伸びて仏閣おほふ」 「蜘蛛の巣の張れる釣鐘わんわんとかって鳴りけむ音の残響」 <妻>: 「妻やる気?日曜大工道具買ふ少女のやうな危ふさに満ち」

今日の歌

  • 2004.04.27

「白壁に赤き塗料の垂れにつつ鬼の泪に変はる今の世」 「西洋の楽器グランドピアノさへ日本製をリヒテル愛すと」 「ある日日本をメイストームの襲ひきてふところ深くを撹乱して過ぐ」 「泣くよりも笑ひがいいな所詮吾の一生(ひとよ)は我に閉ぢたる時空」

今日の歌 

  • 2004.04.26

「追ひ込まれ自殺せざるは勇気なきや 狂気は切腹を美学ともなしき」 「中東にかく易々と死は満ちて渾身の自死の論も色褪す」 「生を享け喜怒哀楽に日々は過ぐ無無明亦無無明尽」 (「無無明亦無無明尽」はご存知、般若心経の一節。「むむみょうやくむむみょうじん」) 「生と死は背理にあらず死の在りて生あることを知る稚葉道(わかばみち)」

今日の三首

  • 2004.04.25

「本町に太鼓乱打の演舞ありチャリティー募金に若きら励む」 近くの真清田神社。本殿、正門、鳥居、そして本町通りが一直線になっているとばかり思っていた迂闊・・・?宗教的に何か意味があるものかどうか。 「本殿から正門、大鳥居、本町の通りが意外やジグザグに並む」 「朝日透く社殿の大樹の若葉影揺れつつ砂利にいたく沁み込む」

今日の歌 

  • 2004.04.21

「生ゴミの袋を破りカラスらが朝の馳走を楽しむに遇ふ」 「カラスらのつつきゐたるは大いなる鮪の頭 料亭の前に」 「ヒヨドリらツイーツイーと鳴き交はし葉桜を出で電線にとまる」 「瑞々と庭木若葉のさ緑とツツジの花の色ひびき合ふ」 「おもほえず紅色牡丹の大輪が民家の軒に贅を尽くせる」 「出色の花の季節の路地裏に恋する猫かギャオーとぞ鳴く」 「恋の歌づんづんと湧く春の日にわれら夫婦は労働に汗す」

今日の歌

  • 2004.04.19

<生>:- 「生(せい)と言ひ生(なま)と言ふ また生(う)むと言ひ生(む)すと言ひ生(あ)ると言ひ生(い)くとも言ふかな」 <空>:- 「空(そら)といひ空(から)といひまた空(くう)といふ 空(うろ)といひ空(あ)くといひ空(むな)しともいふ」

今日の歌

  • 2004.04.17

「春陽のさ霧が宙に躍りゐて目眩むほどの至福感あり」 「春日浴び眠れるやうな感覚に原初生命の胚思ひゐき」 「燻ぶれる穹(そら)に枝々張る松が天を衝くがに群花を咲かす」 「妻と歩む道路に沿ひて花水木白とピンクの悲しみながす」 「無から有生(あ)るる証左の一命を春日に游ばせやるせなかりき」 --------------- 「アメリカのイラク侵攻と占領に<力>の闇をしみじみと視(み)る」

薄墨桜、イラク

  • 2004.04.16

岐阜・根尾村に薄墨桜と根尾断層をゆう子と共に観に行きました。 「千五百年薄墨桜は生き延び来て清き老醜を今に晒せり」 (沖縄・屋久島の縄文杉は樹齢7,000年を超えるとされますが、これは別格。杉はもともと長寿の樹木で、逆に桜はせいぜい樹齢100歳とされますから、1,500歳というのは奇蹟ですね。) 「老桜(らうあう)は厳(いか)つき幹より球形に枝張り宇宙に花漂はす」 「散る花の風に流るる様の佳し老衰 […]

今日の二首

  • 2004.04.12

「散り急ぐ花びらを継ぎ現はるる桜若葉のさ緑の花」 「街中(まちなか)に御衣黄を撮り菜の花や桃も稚葉(わかば)のさ緑も撮る」

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