今日の四首

  • 2003.09.29

「外見ぬまま今日も暮れたりこほろぎの身を絞る声聴かずとも立ち」 「こほろぎの号泣土中を灯すかな怨霊あらば散りて海に去れ」 「宇宙誕生偶然なのか奇蹟かと埒もなきこと脳かけ巡る」 「始まりはありしが終りはなしといふ蓋し<宇宙>は幽霊の祖(おや)」

今日の10首

  • 2003.09.28

「平らかに稲田拡がりほのぼのと昼の日反(かへ)すことのうれしき」 「稲穂田の区画それぞれ異なれる色にぞ実る逆光浴びて」 「田園に稲穂育てるかぐはしさそれを跨ぎて高速道路」 「風光一変 ここ東海と北陸を結べるハイウェイ竣りて幾年」 「ハイウェイは現代人のなす業(わざ)の底知れなさを見せてのたうつ」 「現代の龍とも見えてハイウェイ視界の限りうねりつつ伸ぶ」 「垂れ初めし稲穂の間(あひ)に水ひかりマネキ […]

今日の3首 

  • 2003.09.26

「雨つづき河や池さへ水増して水鳥木陰に雨を避けをり」 「増水の大河の岸を波打ちて北海道の津波思はしむ」 「晴るれば蒼、闇には暗黒、変幻の鏡面球体天文ドーム」

今日の歌

  • 2003.09.25

<東北旅行-3> 「夕闇に煙霧しまける金色堂内ら明かるく望みを蔵す」 「ひたひたと背後に迫る霊気あり藤原三代闇の中尊寺」 「真摯なる賢治童話の難解さ羅須地人協会なる名もしかり」 「不慣れなる農事に励み身を削り名のみ残して逝きし人はや」 「民のため人のためとぞ身を虐め雨にも風にも耐へざりしものを」 「イーハトーブは地上になきや少年ら乗せて宇宙へ銀河鉄道」 「死の際に『おやじが僕を認めた』と父への意地 […]

今日の歌

  • 2003.09.23

「まだらなる紫雲の隙(ひま)にご苦労にもポツリと火星が今夜も光る」 「六十路(むそぢ)前に老いを詠ひし師なりけり晩年に青春を生きむとも詠まる」 「百歳まで生きむと告(の)らしし短歌(うた)の師の臨終(いまは)の無念はわが思惟を超ゆ」 「昏々と眠れるままに逝きし父、また母哀れ 神ふと憎し」 「死にたくないまだまだ死ねぬと言ひしまま事切れし兄 あな無惨やな」 -----東北旅行-2: 「様々に友ら病む […]

今日の歌

  • 2003.09.21

「60を過ぎても老いを感ぜぬは異常と言ふのか。地球45億歳」 「連れ立ちて路地裏沿ひに歩めるに家それぞれが花花を愛す」 「アラファトを屠るとわめくイスラエル 生命(いのち)の軽さ中東に極まる」 「拉致といふ認識外の災難の二十四年後の辻褄あはせ」 下北半島にて: 「幾岬山(いくさきやま)越ゆればすなはち巌仏(いはぼとけ)屹立したる仏ガ浦海岸」

クラス会の歌

  • 2003.09.01

小学校6年生のクラス会に参加。恩師にも来て頂いた。 「小6のクラス会にて旧友ら老若の差のある顔ならぶ」 「小6の文集ありて意外にも確たる味の文におどろく」 「小6の自分の文に発見す思考のパターンは今でも同じ」 「小6の文集全冊先生が鉄筆で書かれ挿絵はご主人」 「小6の文集末尾にわが父の『心眼磨け』の文が残れる」 (最後の歌:一応文筆を生業とした父、一筆頼まれた気負いが窺われ、今ではほほえましい。小 […]

今日の歌

  • 2003.08.28

「一国の暴君たりし痴れ者を賞金賭けて捜すはバカだろ」 「世の中が如何にいびつで捩れてても賞金首だけは真っ平ゴメン」 --------- 「闇黒の池より鈍き悲鳴あがり飛び上がりしは鵺(ぬえ)かお化けか」

今日の歌

  • 2003.08.27

「狭き部屋の二重の書棚にぎっしりと本、書類など無粋に並ぶ」 「ある時は越えねばならぬ境界線たれにも在らむ 線路を跨ぐ」 「脳の機序単純なりと説く論あり異議あれどむなし論といふもの」

  • 2003.08.25

「激痛も意味ある生の証とぞ終末医療を否定する論」 「人生無意味症候群が現代の最も悪しき病といふ論」 「人生の意味を問ひたきこと自体最も悪しき病といふ論」 上の歌の論は、肉体的になんの不具合もない人の論ですので。To be or not to be, that is the question. の類の人生論です。物があふれ飽食の時代、そうした日常の懶惰に流され、創造性・想像性が枯渇するとき、人は生き […]

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