今日の歌

  • 2003.08.23

「熊蝉はつひの命を鳴きながら湧き水に似る時間を創る」 「クマゼミとツクツクホウシが競ひあひ暑き朝(あした)を音声(おんじゃう)に浸す」 「あれほどに世を騒がせし蝉声の今か消ゆべくかすかに残る」

今日の歌 

  • 2003.08.22

「フランスに熱射で五千の高齢者死ぬころ日本は冷夏に喘ぎぬ」 「中東にまた殺戮が始まりぬ似而非(えせ)休戦が憎悪増幅」 -------- 「ミンミンを闇に聞きしが朝明けにツクツクホウシ秋の音(ね)をあぐ」 「熊蝉のはたと絶えしは今朝のこと一転狂へる音(ね)に法師蝉」

今日の3首

  • 2003.08.20

「霧雨の開田高原 木曽駒に手触れてにこにこせる妻はよし」 「辿り来し奈良井宿にて中仙道古(ふる)杉並木を二十メートル味はふ」 「塩尻より乗りし高速道路いま夜雨(やう)に煙れどびゅんびゅん飛ばす」

今日の3首

  • 2003.08.18

「御嶽山(おんたけ)に己が時間を拾はむと来しがいつしか雲間に迷ふ」 「○○神××神など八百万の神沿道に並ぶ御嶽山(おんたけ)」 「御嶽山(おんたけ)の嶺を裹みて雲塊の激しく動くを妻と観て佇(た)つ」

今日の2首

  • 2003.08.15

「人皆の固唾を呑みて聴き入りし玉音放送が出回る世なり」 (その録音がテレビやラジオのドラマでさかんに使われ、またCDにして売られるという。) 「鴨家族子鴨らにはかに成長し芥の池に鬼ごっこをす」

昨日の2首

  • 2003.08.14

「近付ける火星かがやき満月に寄り添ひをらむ雲の向かふで」 「精霊を迎へ送らむ 地には地の天には天の摂理あるべく」

今日の歌

  • 2003.08.12

「逃げ得ずして汗かき目覚めし現実も雲霞のごとく得体の知れぬ」 「ををををと満月厭(いと)ひて喚(おら)ぶなり身の内に棲む餓鬼畜生が」 「流れ雲十五夜の月を撫でてゐて地に臆病な犬吠えやまぬ」

今日の3首

  • 2003.08.11

「風さほど吹かざりしかど構内は青葉の切れ端広く散らばる」 「増水し濁れる池に鴨家族水草の辺(へ)に寄り添ひて鳴く」 「嘆くとも見えて 満月おほふ雲裂けたる縁に光の滴」

今日の歌

  • 2003.08.08

「街灯も届かぬ闇のくすのきの葉叢に盛んに油蝉鳴く」 「日を好む性(さが)なるはずを油蝉 闇の梢に鳴く狂気あり」 「蝉さへも闇に鳴く世の狂態はそっとしをかむ小市民われは」

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