社会詠

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今日の5首

  • 2002.12.29

「年末も年始も永き坦々たる時の流れの起伏でさへなし」 「数ヶ月使はぬレコーダー働かず吾が大脳もかくのごときか」 「アメリカは大義名分なきままにイラク爆撃に本気だといふ」 「大国の思惑を私人があれこれと危惧する空しさまたも繰り返す」 「騒乱の色濃きままに年暮れて来む年すでに暗澹たるかな」

今日の六首

  • 2002.12.15

夕べの富士– 「ゆらゆらと薄暮の空に漂へる雪嶺富士の青きたましひ」 真昼の富士– 「ま青なる冬空に聳(た)ち雪嶺のまばゆき富士山首に雲巻く」 —————————– 「熱しつつ論重ぬるに青年に六十路(むそぢ)が勝るを喜ぶべきや」 「経験も未熟な内の幸運に賞に […]

今日の5首

  • 2002.11.02

「秋空を斜めに切りてツバメ去る未練、感傷あるべくもなし」 「お祭りのテーマは”Color of・・・”にして若き蛮声秋の雲を裂く」 「借り物のテントで多くの店が出て<ヴェトナム料理>の看板も見ゆ」 「若者ら一般市民ら交はりて<拉致><核問題>とは無縁の祭」 「出店やらブラスバンドの騒音に池畔を逃げる鶺鴒一羽」

思い様々

  • 2002.10.26

「母の郷国(くに)知らず在り経し乙女ゐて金日成大学に行くを夢とす」 「拉致のこと劇場占拠のことなどもやがて意識の外縁に去る」 「部屋内(ぬち)に思念する午後ましづかにおし包みつつ秋の霧雨」 「中国に恋が咲いたと告げられぬ<未来の国>が君を招(よ)ぶのか」

核兵器?

  • 2002.10.17

「核兵器開発せしか北朝鮮狂人に刃物の喩へも叶はぬ」 「『北鮮が核開発』の報道がずしんと鈍く延髄打撃す」

花園また拉致

  • 2002.10.16

岐三重県桑名郡長島町にある<なばなの里>にて: 「温室の全館ベゴニア咲き乱れ吾は<花炎>とふ語を思ひゐき」 「めくるめくベゴニア万華(まんげ)の狂ひ咲きわれら異界に迷ひ込みしや」 「人為とも言はば言ふべし<なばなの里>百花懸命に美を競ひたり」 「時を得しコスモス花中に妻沈めカシャカシャカシャとデジカメで撮る」 「ダリアの華大輪にして寄り添へる妻の顔より大きく重し」 「照明に浮かぶ夜間のコスモス畑か […]

今日の5首

  • 2002.10.09

「空聖し秋雨前線押し遣りて汚れと怯えの世情を祓へ」 「オフィスは鉄筋ビルの中なれば残響伴ひ虫が音(ね)沁み来る」 「暗黒の廊下を行くに狙はれてゐたるがごとく突如灯が点く」 「大型のタンカー炎上-事故であれテロであれ吾が心にシミ置く」 「テロの影大国覆ひ爆撃の矛先さがし眼(まなこ)きょろきょろ」

今日の一首

  • 2002.10.03

「上層ほど男子出生多くなり人口操作にゆがむ中国」 (出生率が、平均で男子対女子=150対100、上流階級ほど男子出生が多く、220~230対100という中国。つまり、上層階級の出生は、男子が女子の2倍以上という異常さ。一人っ子政策の悪弊ここに極まる。今は産む前に赤ちゃんの性別がわかるので、こういうことになる。それにしても、この一事ひとつとっても、現代でも、どの国でも、男性優位の社会であることを物語 […]

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