社会詠

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今日の5首

  • 2002.10.09

「空聖し秋雨前線押し遣りて汚れと怯えの世情を祓へ」 「オフィスは鉄筋ビルの中なれば残響伴ひ虫が音(ね)沁み来る」 「暗黒の廊下を行くに狙はれてゐたるがごとく突如灯が点く」 「大型のタンカー炎上-事故であれテロであれ吾が心にシミ置く」 「テロの影大国覆ひ爆撃の矛先さがし眼(まなこ)きょろきょろ」

今日の一首

  • 2002.10.03

「上層ほど男子出生多くなり人口操作にゆがむ中国」 (出生率が、平均で男子対女子=150対100、上流階級ほど男子出生が多く、220~230対100という中国。つまり、上層階級の出生は、男子が女子の2倍以上という異常さ。一人っ子政策の悪弊ここに極まる。今は産む前に赤ちゃんの性別がわかるので、こういうことになる。それにしても、この一事ひとつとっても、現代でも、どの国でも、男性優位の社会であることを物語 […]

日朝首脳会談

  • 2002.09.17

「総人口二千二百万の小国が経済破綻と貧困に喘ぐ」 「撃沈の北工作船が引き上げられ悪の画策あばかれにたり」 「日朝は朝日とも書きアサヒならずチョウニチと読む 首脳会談」 「やすやすと歴史的とは言ふなかれ日朝サミット成果のほど見む」 「独裁者キムジョンイルとさしで会うライオン宰相小泉ジュンちゃん」 「核疑惑・ミサイル凍結・拉致問題そのあとようやく国交正常化」 「脅しじゃないアフガン空爆の激しさはイラク […]

回想その他

  • 2002.09.13

「秋半ば椅子に午睡の汝が上で縞なすブラインドの影がうごめく」 「曇る日はこもる低音晴るる日はかん高き声秋の野鳥は」 -------------------------- 「全天の闇落つるがに鉄拳が戦争好む国砕く夢」 -------------------------- (回想十首) 「WTCビルに旅客機激突し火を噴くさまが音無く映る」 「もう一機突入せるにや双子ビル劇画のやうに炎上げたり」 「映画 […]

今日の四首

  • 2002.08.09

「広島の次は長崎そしてまた真紀子議員の辞職劇かや」 「長崎は小倉の替りやすやすと地獄の地図は描き変へらる」 「広島だ長崎だまた真紀子だとこの暑き日々を引っ掻き回す」 「辞職劇にマスコミのこの騒ぎやう貴重な電波を無駄使ひして」

朦朧5首

  • 2002.08.07

「部屋内の気温が31度超し脳細胞さへ汗する気配」 「古人らの偉大さ示す一語とは『心頭滅却すれば火もまた涼し』」 「オランダとドイツで売春合法化!暑さで朦朧の脳も冷めたり」 「片側の性の欲望ネタとする人間最古の商売ありき」 「英語ではPROSTITUTION、別訳の<堕落>も併せて合法化さる」

今日の五首

  • 2002.08.05

「虚しさを排除せる生希(ねが)ふとき炎天にして頭(づ)から星散る」 「癌宣告娘(こ)が受けしより愛妻はうろたへざるも常の精気なし」 「白鷺に青鷺まじりなほ暑き夏夕空の西へ消えゆく」 「幾億年続く筈なき人といふ種(しゅ)のはかなさや 明日原爆忌」 「人々の生に苦しむ知るほどに人を創りし神ふと憎む」

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