今日の一首(3月7日)
- 2011.03.07
道の辛夷並木にひらく花数ふるほどにて徐々に春なり
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
道の辛夷並木にひらく花数ふるほどにて徐々に春なり
隙間なく花に覆はるる山茶花は影までほんのりと赤味を帯びて
ひからびし皮膚はがすごとひと息に2月の暦を剥がして憮然 午(ひる)までは雨降りゐしに午後に入りすぱんと晴れて遠山が輝(て)る
お隣の窓下にして盆栽のやうなる梅が濃き紅に咲く いと狭き庭の隅にて山茶花の花が真紅(しんく)にあまたひらきぬ
いかやうに為せど思へどうろうろと有漏路無漏路(うろぢむろぢ)をさまよふのみか 身業(しんごふ)も口業(くごふ)も意業(いごふ)も悪ならねど無為徒食ならば虚仮(こけ)に等しく
油断といふ自信過剰の落とし穴 龍馬も信長も落ちて還らず なぜだらう龍馬は武器商人、信長は殺人鬼にして今も慕はる
灯の下(もと)に世を思ふとき心には黒き炎の立ちのぼりゐて
低く飛ぶヘリコプターのローター音、分厚き雲に鈍く反響す 低空航(ゆ)くヘリコプターの翼音にわが脳漿がだぼだぼと鳴る
なにゆゑか記憶に濃淡しるくして高校生活がすつぽりと抜く かへりみて大学時代の記憶など濃霧にかすむ須弥山(しゅみせん)のごとし 青春は一生(ひとよ)の華と言ふめれどわが青春の記憶は淡し 前線にて命のやりとり且つは飢餓に怯えつつ消えし青春いくつ
南面の雪疾うに消え北側にしぶとく残り固く凍れる 凍りつき雪が歩道に残りれるを隣のご夫人ガリガリと掻く