生活詠

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二月尽

  • 2011.02.28

ひからびし皮膚はがすごとひと息に2月の暦を剥がして憮然 午(ひる)までは雨降りゐしに午後に入りすぱんと晴れて遠山が輝(て)る

無漏路へ

  • 2011.02.23

いかやうに為せど思へどうろうろと有漏路無漏路(うろぢむろぢ)をさまよふのみか 身業(しんごふ)も口業(くごふ)も意業(いごふ)も悪ならねど無為徒食ならば虚仮(こけ)に等しく

記憶

  • 2011.02.16

なにゆゑか記憶に濃淡しるくして高校生活がすつぽりと抜く かへりみて大学時代の記憶など濃霧にかすむ須弥山(しゅみせん)のごとし 青春は一生(ひとよ)の華と言ふめれどわが青春の記憶は淡し 前線にて命のやりとり且つは飢餓に怯えつつ消えし青春いくつ

残雪

  • 2011.02.15

南面の雪疾うに消え北側にしぶとく残り固く凍れる 凍りつき雪が歩道に残りれるを隣のご夫人ガリガリと掻く

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