生活詠

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記憶

  • 2011.02.16

なにゆゑか記憶に濃淡しるくして高校生活がすつぽりと抜く かへりみて大学時代の記憶など濃霧にかすむ須弥山(しゅみせん)のごとし 青春は一生(ひとよ)の華と言ふめれどわが青春の記憶は淡し 前線にて命のやりとり且つは飢餓に怯えつつ消えし青春いくつ

残雪

  • 2011.02.15

南面の雪疾うに消え北側にしぶとく残り固く凍れる 凍りつき雪が歩道に残りれるを隣のご夫人ガリガリと掻く

三世といふは・・・

  • 2011.02.13

前世があり現世がありて来世がある。つまり現世は来世の前世なり <想起説>に因みて: この今の意識が前世の<想起>ならば死したるのちは今を想ふらん ——————————– 良き短歌(うた)を詠み得しのみに今日ひと日は大仕事なしし気分なり ああ

春の風

  • 2011.02.10

とある朝「ああこれは春の風だ」とぽつり。窓の隙間より頬を吹かれて 冠雪の伊吹山(いぶき)の山塊光るなり意外にするどき起伏を見せて —————————— 何もしない外交のツケでロシア領に固定化していく北方四島 (新仮名) 竹島や尖閣などに気を取られ大きな北方四島失うか (新仮名)

  • 2011.02.06

そもそもは無かりし<命>がこの星に生まれし時よりかなしみも生(あ)る 幾重(いくへ)もの奇蹟の果(はて)に生(しゃう)じしゆゑ消ゆるが定め <命>かなしも <命>とは偶然の産物それゆゑに繊細脆弱いとほしむべし いづれ尽くる<命>であれば過ぎてゆく<時>をつぶさに味はひ尽くさむ ————————̵ […]

ひっぽきゃむぱす

  • 2011.02.03

節分と旧の元日重なりて日差も春なりめでたからずや 遠き地に民衆目覚めて立上がる世の不条理を醇化なすべく 思ひをり屋根より落ち来し雪塊に埋まりし媼の末期の苦痛を しばしばも物忘れして疑ふは海馬(ひっぽきゃむぱす)に走るクラック 海馬(ひっぽきゃむぱす)=hippocampus、かいば。脳内の記憶を司る領域。

魂魄 ほか

  • 2010.09.23

霊気にも陽(やう)と陰(いん)あり精神と肉体統ぶる魂(こん)と魄(はく)これ 希望か魔手か: 何ゆゑにiPS細胞が出来るのか不明とふことの危ふさを思へ 木星接近: うろこ雲の隙(ひま)に覗くは月のみにあらで木星も鋭く光る 自(し)が背中見えざる歯痒さ。目に追へる前行く他人(ひと)に深き翳ありて

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