未来
- 2011.03.09
最悪の未来を想ひて現在の暮らしまで暗くするは愚かぞ
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
最悪の未来を想ひて現在の暮らしまで暗くするは愚かぞ
素裸の欅の細枝(ほそえ)のそれぞれに身を丸くして雀ら眠る
道の辛夷並木にひらく花数ふるほどにて徐々に春なり
隙間なく花に覆はるる山茶花は影までほんのりと赤味を帯びて
ひからびし皮膚はがすごとひと息に2月の暦を剥がして憮然 午(ひる)までは雨降りゐしに午後に入りすぱんと晴れて遠山が輝(て)る
お隣の窓下にして盆栽のやうなる梅が濃き紅に咲く いと狭き庭の隅にて山茶花の花が真紅(しんく)にあまたひらきぬ
いかやうに為せど思へどうろうろと有漏路無漏路(うろぢむろぢ)をさまよふのみか 身業(しんごふ)も口業(くごふ)も意業(いごふ)も悪ならねど無為徒食ならば虚仮(こけ)に等しく
油断といふ自信過剰の落とし穴 龍馬も信長も落ちて還らず なぜだらう龍馬は武器商人、信長は殺人鬼にして今も慕はる
灯の下(もと)に世を思ふとき心には黒き炎の立ちのぼりゐて
低く飛ぶヘリコプターのローター音、分厚き雲に鈍く反響す 低空航(ゆ)くヘリコプターの翼音にわが脳漿がだぼだぼと鳴る