ヘリコプター
- 2011.02.17
低く飛ぶヘリコプターのローター音、分厚き雲に鈍く反響す 低空航(ゆ)くヘリコプターの翼音にわが脳漿がだぼだぼと鳴る
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
低く飛ぶヘリコプターのローター音、分厚き雲に鈍く反響す 低空航(ゆ)くヘリコプターの翼音にわが脳漿がだぼだぼと鳴る
南面の雪疾うに消え北側にしぶとく残り固く凍れる 凍りつき雪が歩道に残りれるを隣のご夫人ガリガリと掻く
とある朝「ああこれは春の風だ」とぽつり。窓の隙間より頬を吹かれて 冠雪の伊吹山(いぶき)の山塊光るなり意外にするどき起伏を見せて —————————— 何もしない外交のツケでロシア領に固定化していく北方四島 (新仮名) 竹島や尖閣などに気を取られ大きな北方四島失うか (新仮名)
そもそもは無かりし<命>がこの星に生まれし時よりかなしみも生(あ)る 幾重(いくへ)もの奇蹟の果(はて)に生(しゃう)じしゆゑ消ゆるが定め <命>かなしも <命>とは偶然の産物それゆゑに繊細脆弱いとほしむべし いづれ尽くる<命>であれば過ぎてゆく<時>をつぶさに味はひ尽くさむ ————————̵ […]
節分と旧の元日重なりて日差も春なりめでたからずや 遠き地に民衆目覚めて立上がる世の不条理を醇化なすべく 思ひをり屋根より落ち来し雪塊に埋まりし媼の末期の苦痛を しばしばも物忘れして疑ふは海馬(ひっぽきゃむぱす)に走るクラック 海馬(ひっぽきゃむぱす)=hippocampus、かいば。脳内の記憶を司る領域。
周りのビル壊されタコ焼き屋の細きビル残りしがつひに壊さる 古ビルの壊され繁華街に生じたる空洞に人らの幻影うごめく カネタタキ、鈴虫、こほろぎ、クツワムシ、国道脇の暗がりに鳴く
怨霊も天狗も河童も出でざる世に冤罪事件のやたらに多し 持たざるにとりてしばしば恐ろしき持てるがゆゑに奢るやからの 感動の塊が脳を打擲し水母のやうに脳が波打つ 薄闇にミニスカートの佇(た)ちゐしが残像ばうとしばしとどまる
mortalとimmortalとの狭間にて起ちては眠り眠りては起つ 雲流れ不意に消さるる星星は混沌の国の失意と言ふべく
たとふれば幽体離脱と言ふべきにや火星に降りて地球を観る夢 またしてもああ月が逝く猛暑なる八月なればひときは寂し
路傍にて孫らと手花火してをれば背後を脚なき人影すぎゆく 孫たちと線香花火を楽しむに背後に過去の人影たたずむ