日常他

99/120ページ

怨霊

  • 2010.09.12

怨霊も天狗も河童も出でざる世に冤罪事件のやたらに多し 持たざるにとりてしばしば恐ろしき持てるがゆゑに奢るやからの 感動の塊が脳を打擲し水母のやうに脳が波打つ 薄闇にミニスカートの佇(た)ちゐしが残像ばうとしばしとどまる

八月逝く

  • 2010.08.31

たとふれば幽体離脱と言ふべきにや火星に降りて地球を観る夢 またしてもああ月が逝く猛暑なる八月なればひときは寂し

孫ら

  • 2010.08.24

孫ら去りまた来ては去る新しく生まるる孫もありてよろしも あっけなく転がる蝉の亡骸(なきがら)の陽に灼かれつつ物をこそ思へ 過去といふ影絵の上に今を生き向かふは未来とふまぼろしの洞(ほら) ———————– 人間界俯瞰し適確に制御する存在なきが不幸の根源

思ひさまざま

  • 2010.07.05

国道に対(む)く部屋にても車の音十秒あまり途絶ゆる間のあり 反社会的闇の組織に係はりし力士いくたり罰せられたり 反社会的闇の組織と知りながら何ゆゑ法にて排除せざるや 警察力不足といふなら自衛隊を活用すべし暴力団撲滅に 生産せずお金(かね)を転がすワザのみにて金満家を生むゆがみの仕組 金融とふ資本主義社会の怪物が肥大しやがては世界を滅ぼす 恐るべしヘッジファンドの総額は数百兆ドルを超すとも言へり 金 […]

紫陽花ほか

  • 2010.06.14

雲は夜意外に白くあざやかにてビルに触れんほど間近に浮かぶ 徐々に雲西より迫り果は闇 反基地闘争の火薬の匂ひす 横たはる鴉の骸を指さすに人言ふ「やつらはどんどん死ね」と 遅れ梅雨に色褪せてゐし紫陽花のやうやく雨を浴びてかがやく アルストロメリアとその名はゆかしくていつしか巷に花あふれたる

1 99 120