近詠五首
- 2009.05.23
海賊が一つの職となり果てしソマリアとふ国 世界はどうする? 稲ならず麻薬生産で食ひ繋ぐタリバーンといふ狂信の人ら 前大統領の自殺を報ずるテレビまた新聞見つつアスパラかじる 自殺するほどの苦悩の在る世には緑あふるる季節もあるなり 国のこと世界のことを憂ひつつ味噌汁すすり豆腐食みゐる
海賊が一つの職となり果てしソマリアとふ国 世界はどうする? 稲ならず麻薬生産で食ひ繋ぐタリバーンといふ狂信の人ら 前大統領の自殺を報ずるテレビまた新聞見つつアスパラかじる 自殺するほどの苦悩の在る世には緑あふるる季節もあるなり 国のこと世界のことを憂ひつつ味噌汁すすり豆腐食みゐる
雀らが子育てをする軒先に猫出没す 民はどうなる 濃緑の葉陰にひそと柿の花ひらきて穏し 国もかくあれ
広がりゆく飛行機雲の真ん中を新たに細く伸びゆくもあり 現代は人生百年時代とぞされど生くるは<今>とふ瞬間 <今>といふこの瞬間の消ゆることすなはち<死>なりと知りて迷はず
ヴェランダに放置状態の菖蒲なり年々花の数増して愛(は)し 五月晴れの蒼空邃しその果に華の三千世界を蔵して 核軍縮→核廃絶は理想論などとの戯言(たはごと)がそれを阻害す
ツイツイと燕ら飛び交ひばたばたと雀らはばたく霧雨の中を 傘持たず出で来て歩むに降り初(そ)めし霧雨目に沁みむしろ快感
両岸にうすくれなゐの靄かけゐし桜の今は緑さんさん
ほろ酔ひのときに違(たが)はず押寄する虚無感はつまり多福のゆゑなり
上宝村合掌造りの里にて: 新緑と合掌造りとさくら花 生きて在る幸ここにきはまる
三日月に地球照(ちきうせう)見ゆ月面より地球に月照見ゆるや否や
放射状に西より発して東(ひんがし)の一点に収まる筋雲(すぢくも)を見き