社会詠

79/87ページ

今日の歌

  • 2004.05.14

「晴れわたる晩春のひと日妻ときて木曽川沿ひに散策五キロ」 「繁る葉を漏れくる陽光はみどり色。夢中でシャッターを押し続けたり」 「遊歩道に燕とび交ひウグイス鳴く世界の騒擾は夢のごとしも」 「山岳に豪雨ありけむ木曽川は濁れる水の満々と流る」 「河沿ひの散策道にも忍び寄るイラクの影あり。自衛隊機飛ぶ」 「低空に戦闘機次々現れて木曽川を越え近山へ没(い)る」 (注:木曽川の対岸、小山の向こうには、各務原の […]

今日の十首

  • 2004.05.13

「球根をいつ植えたるか花菖蒲ゆらりと伸びて三花ひらきぬ」 「すりガラスにあやめ三花の影揺れて異常高温の春の夜も更く」 「イスラムの世界に根付くや民主主義意外に咲けるアヤメに問ひをり」 「衝迫感ふかく疾(はし)りぬ虐待に報いる暴虐テレビに観つつ」 「つづまりは人間とふはかしこさうに見えて脳味噌スポンジなるかも」 「身障の人らにPC教ふるを楽しみとなす妻はしけやし」 「糸よりも細き雨くる天を観て雲のし […]

今日の二首

  • 2004.05.10

「消えてゆく化石燃料そののちは人らたつきを如何にとかせん」 「いまひとつ環境破壊の実感のなきまま人は破壊を続く」

今日の歌

  • 2004.05.08

「人間の悪業表す語は強く響く惨殺拷問虐待・・」 「イラク人虐待加担に女兵ありと大仰に報ずる目的は何」 「虫けらと思わなければ3千もの収容イラク人を御(ぎょ)せないだって?」 (口語新仮名) 「虐待を謝罪することすなはちこれ民主主義とぞ愚もつかぬ詭弁」 「元凶を辿れば大儀なき侵攻 武力頼みのドンキホーテさ」 高階より庭を見る:- 「俯瞰する庭木に夕日の当りゐて緑葉蜜蝋のごとく照り映ゆ」

今日の歌 

  • 2004.04.26

「追ひ込まれ自殺せざるは勇気なきや 狂気は切腹を美学ともなしき」 「中東にかく易々と死は満ちて渾身の自死の論も色褪す」 「生を享け喜怒哀楽に日々は過ぐ無無明亦無無明尽」 (「無無明亦無無明尽」はご存知、般若心経の一節。「むむみょうやくむむみょうじん」) 「生と死は背理にあらず死の在りて生あることを知る稚葉道(わかばみち)」

今日の歌

  • 2004.04.17

「春陽のさ霧が宙に躍りゐて目眩むほどの至福感あり」 「春日浴び眠れるやうな感覚に原初生命の胚思ひゐき」 「燻ぶれる穹(そら)に枝々張る松が天を衝くがに群花を咲かす」 「妻と歩む道路に沿ひて花水木白とピンクの悲しみながす」 「無から有生(あ)るる証左の一命を春日に游ばせやるせなかりき」 --------------- 「アメリカのイラク侵攻と占領に<力>の闇をしみじみと視(み)る」

薄墨桜、イラク

  • 2004.04.16

岐阜・根尾村に薄墨桜と根尾断層をゆう子と共に観に行きました。 「千五百年薄墨桜は生き延び来て清き老醜を今に晒せり」 (沖縄・屋久島の縄文杉は樹齢7,000年を超えるとされますが、これは別格。杉はもともと長寿の樹木で、逆に桜はせいぜい樹齢100歳とされますから、1,500歳というのは奇蹟ですね。) 「老桜(らうあう)は厳(いか)つき幹より球形に枝張り宇宙に花漂はす」 「散る花の風に流るる様の佳し老衰 […]

今日の5首

  • 2004.04.09

「プランターに砂浴びをなす雀あり土なきゆゑのこのいぢらしさ」 「幾万の桜観けむやこの春は渺渺としてわれ日本人」 「ひた土に萼ごと落ちしさくら花とり来てグラスに浮かす妻愛(は)し」 「朝に観て昼に夜にも観し桜ゆゑに眩暈(めまひ)し妻かき抱きぬ」 イラク人質事件: 「沈思して翳しのび寄る胸内(むなうち)に花はふぶきて乱れかがやく」

今日の歌

  • 2004.03.19

「テロの報聞くたび心の痛むなり汚泥のおほふ世界の平和」 「爆撃は最大のテロと誰か言ふわれもしか思ふ雛祭の日に」 「梅椿盛りなれども3月の地を伝ふ物の怪(け)の不穏あり」 (新仮名) 「暴力と汚辱はびこる地球から純な思想が日々遁走する」 ----- 「贈られし花束飾り悦に入る書斎の妻よ永久(とは)に若かれ」 「空中の電波を拾ひ自動にて時刻を合はす電子時計くん」

1 79 87