2004年12月26日
- 2004.12.26
夜の散歩にて:— 山茶花は散る花咲く花蕾さへここだく見えて今さかりなり 軒先に大輪の薔薇紅と白ただ二つのみ何ゆゑか咲く フラッシュに浮き出(づ)る深夜の花花の妖艶にして愁ひ秘めたり
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
夜の散歩にて:— 山茶花は散る花咲く花蕾さへここだく見えて今さかりなり 軒先に大輪の薔薇紅と白ただ二つのみ何ゆゑか咲く フラッシュに浮き出(づ)る深夜の花花の妖艶にして愁ひ秘めたり
高層ビル建設現場: 直径一メートル長さ五メートルのパイルをばらくらく地球に突き刺してゆく バカでかいパイル幾本もぐいぐいと地球深くへ捩じ込むぞ こわい (口語) 高層ゆゑ巨大なパイルを埋めてゆくさらに巨大な機械が揺れつつ
パソコンを前に眠気の襲ふころ妻は隣室(となり)で賀状の印 パソコンの液晶画面に目が疲れ眠気を誘ふ犬の遠吠え —————————————- 古都の古寺旧跡なべて形骸にあらず歴史の亡霊が棲む
眠くて眠くてもうろうとしてなお歌詠もうと必死なボクいる (口語) 乳癌の手術をせしとふかの歌人 爾後はただただ生きつぎ詠へ
名古屋市は田舎都会と呼ばれしがいま隆盛を極むとも覚ゆ 東海は自動車、鉄鋼、電気など生産拠点とならんとすらん 友も吾もつひ知らざりき 道路網、地下鉄網など名古屋は変貌す 一年に一千万台超ゆる車 生産されて渋滞おこす 渋滞にとらはれ街の華麗なるクリスマス電飾止むなく眺む
大学以来初めて逢へる旧友は社会の荒波顔面に刻めり 大学以来初めて逢ひて旧友が直ぐに分からず嘆かしめたり 旧友はここ故郷(ふるさと)を藤沢に永く住みつつ常恋ひ来しと ——————————————- 家裏の狭き空間に高層のビルをば建てむ […]
朝起きてわが妻の先づなすことはパソコン電源入れることぞも ———————————— 横蔵寺(よこくらじ)紅葉黄葉盛りにて青空そがひにめくるめくばかり 陽光を素直に受けてもみぢ葉の半透明の朱色目の沁む 屹立する三重塔に影おきて極彩色の紅葉の照り 池の面に重な […]
立冬も過ぎて日の経し路地裏に寂しさ裹(つつ)み曼珠沙華咲く
覘(のぞ)きしが雲勝りゐてまた隠るされどやがては晴れ晴れと月 曇る宵散歩に出でしが帰るころ弦月現はれて鬱を晴らせり ———————– 孫一歳半:- 女(め)の孫に吹きやるハーモニカ自分にも貸せとねだるも無理と諦む じーじじゃない別のパパだよ–他愛なき会話にたちまちひと日暮れたり
チャイコフスキー第六が鳴る車中にて半ばまどろみ中有(ちゅうう)を恋ひぬ 襲ひ来る雲押し分けてほとばしる太陽光が地上を舐めゆく 騒音の中に目つむり黙すれば無窮の彼方に人の笑ひ声