名曲
- 2024.03.19
静寂へ消え入りさうな曲ながれ無数の人影脳裏をよぎる
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
静寂へ消え入りさうな曲ながれ無数の人影脳裏をよぎる
人間がオーケストレーションに目覚めし頃のクラシックにあらためて酔ひ痴れてをり
アメリカン・ミュージックは肌に合はざれど「カントリーロード」などは好きと言はむか
音響器機より‘モルダウ’流る工事音の隙間をたくみにするする縫ひて
シューベルトの <未完成> 聴きつつ思へるはもし完成しをれば感動減るか
『月光ソナタ』の「月光」は後の世の命名、ベートーベンはまつたく知らず
わぁーこれがフィッシャーディスカウの歌声だ!潤んで張りあり朗朗と流れ
美しき曲が工事の騒音と重なりにつつ別の曲になる
とうとうと流るる調べの末にして消(け)ぬがに震ふる弦のトレモロ
軽やかでリズミカルな曲が部屋に満ち脳髄の襞(ひだ)をほぐしてしまふ