今日の4首
- 2004.09.30
名月は焦(じら)すがごとく雲間より須臾(しゅゆ)の間ぼんやり顔見せしのみ 台風の去りてやや冷ゆあをあをと地を濡らしつつ空は霽れたり 名月も十六夜(いざよひ)も見ず立待の月を待ちかねしばしば庭に出づ 名月の二日遅れを恨むまじ風にも飛ばず在りしを幸とし
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
名月は焦(じら)すがごとく雲間より須臾(しゅゆ)の間ぼんやり顔見せしのみ 台風の去りてやや冷ゆあをあをと地を濡らしつつ空は霽れたり 名月も十六夜(いざよひ)も見ず立待の月を待ちかねしばしば庭に出づ 名月の二日遅れを恨むまじ風にも飛ばず在りしを幸とし
雨浴ぶる樹木にひそみ雀、ヒヨ、ひたすら耐へて寡黙に動かず 中秋の名月の先取り:- <名月>は雨かもしれず前の夜のまぁるき月を存分に賞(め)づ 虹の暈かかる円月を核として白き綿雲果なくひろがる
はじめに天動説ありき・・・?:- 太陽が地球を回ると児童らの4割が言う 理屈ではなく (新仮名) 太陽を地球が回ると言う児童は実感の限界を知るのだろうか (新仮名)
月末の台風一過 大空を埋めてひろがりゆくうろこ雲 ーーー 窓際でパソコン打つに足元に来て鈴虫の涼やかに鳴く 上空の気流おさまり満月に照らされて浮く雲のふくらみ
オリンピック狂騒曲に酔ふ国に大型台風しづかに近づく 夕べ見し楕円の月を夜の更けの闇奪ひしよ じわりと嵐 日日(にちにち)のこの平穏に冷水を浴びせて旅客機爆破テロ二つ
日没の空に二すぢ伸びゆきし糸の雲つひに交はらざりけり
「大都上空に麗人閉づる眼のやうな繊月、そして金星が並ぶ」 「靄けむる富士川の橋渡りつつ脳裏に富士山けざやかに浮く」 「しっとりと卯の花くたしに濡れて澄む東海道の水田地帯」 「集ひては議論を交はし楽しめる学会といふは不思議な異界」 「拉致されて生(な)しし子供ら帰国すと歓喜はすれど何か違和あり」 「木曽川の河川敷埋め黄をながすオオキンケイギクに妻も染まりぬ」 「光とは真空とは何 問ふほどに吾が脳めろ […]
「昼間見し紅梅の影を闇に置き月なき空に金星光る」
「朝戸出にあふぐ真青な中天に完全無欠の半月貼付く」 「上方から日本刀にてたち割りし月の左半が朝空に残る」 「白き円カミソリをもて真二つに切りし一半 今朝の月かな」 口語新仮名: 「青なのに行かない前車へクラクション。ぎくりと発車しバックミラー見てる」 {独り言:交叉点で、信号が青に変わっているのに、考え事か何かをやっていて気付かず、なかなか出ない前の車にジレてクラクションを鳴らすと、ハッとしたよう […]
「前を鎖(さ)す自動扉の開(あ)かざるはビルに拒絶の意思あるごとし」 「湯浴みしてお茶煎れ呉るる何げなき所作にも妻のリズムあるなり」 「今年また非業に死にし人幾たり望まず生まれし人は幾たり」 「良識が束になりても裁き得ぬ国あることは不幸ならずや」 「宇宙とは絶対3°の闇の闇 逝きし人らの魂(たま)も冷えゐん」 (絶対3°=-270℃; 宇宙背景輻射温度=全宇宙平均温度(通説))