皺顔
- 2013.06.27
同年の友の皺顔つくづくと君も人の子、我も人の子 アガパンサス今年も咲けどいくつかは形くづれて憐れを誘ふ 場所塞ぎ仏壇に大きな紫陽花二花 わが娘(こ)は時々異な事をする
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
同年の友の皺顔つくづくと君も人の子、我も人の子 アガパンサス今年も咲けどいくつかは形くづれて憐れを誘ふ 場所塞ぎ仏壇に大きな紫陽花二花 わが娘(こ)は時々異な事をする
半年ぶりに見舞へばわれ見て「弟にそっくりの人」と姉はのたまふ 「そっくりじゃなく本人だよ」とわれ言へど姉は「そっくり」を繰り返すなり 聞き上手の妻と会話する姉なれどそれがわが妻と知りてと思へず ーーーーーーーーーーーーーー 建築中の高層ビルの鉄骨がどすんと地球に突き刺さり聳(た)つ
めしめしと家きしみ窓もしなふほどに強風が荒れ真夜に眼の冴ゆ 祖父母の代までしか辿れぬご先祖さま このルーツ感は責めらるるべきや
五十歳(ごじふ)まで音信皆無の姪をりて初の電話に「母が病」と 離れ住む姉らとの絆弱く経てせめて老後の病に強まる
太ももまで剥き出しにして闊歩する女(ひと)羨ましき暑さなりけり かくほどに武器が蔓延、凶悪化し人類の未来は絶望あるのみ 身に違和を持ちしまま東北へ傾聴のボランティへ行きし妻が気になる
孫三歳、智恵はたらかせて線香に火をつけんとす疑似ローソクにて
音楽に縁ある父子(ふし)とも思へねど父の名ひびき子の名は奏(かなで) 何だらう、何かを忘れてもやもやと不安のやうなどうでもいいやうな
昇りくる鈍色にしていびつなる月に映るは不穏の国情 日本が育てし日本の横綱なり白鵬連続四場所全勝 日本が育てし大リーガー・イチローの十年連続二百安打を嘉す
餌(ゑ)に寄りくる幾多の雀の中に一羽絶えずぴーぴーと鳴くありて愛(は)し 父母(ちちはは)亡く長兄も逝き次兄また身罷りて三日、奇跡を乞ひしに 絶滅は種(しゅ)の宿命なり人といふ種(しゅ)は例外と誰も思はぬ
妻と歩む川沿ひの道 水際(みぎは)には鴨群れ家並(やなみ)より鶯の声 朝起きて夜寝るまでの平凡の繰返しを時に倦むと言ふ妻 岐阜県高山市の飛騨大鍾乳洞観光大橋コレクション館に、手で触れてご利益あらんと陳列されてゐし100キログラムの金塊・・・ 盗まれし時価二億円の金塊にかつてわれらも手触れしものを 妻が言ふには・・・ 叶ふなら中国屈指の名勝の九寨溝を一度は観たしと 暇あればパソコンに向かふわが妻の寂 […]