孫ら
- 2020.08.24
- 生活詠 死生観・宗教・思索、歴史 兄弟家族
孫ら去りまた来ては去る新しく生まるる孫もありてよろしも あっけなく転がる蝉の亡骸(なきがら)の陽に灼かれつつ物をこそ思へ 過去といふ影絵の上に今を生き向かふは未来とふまぼろしの洞(ほら) ———————– 人間界俯瞰し適確に制御する存在なきが不幸の根源
2000年11月に梧桐学のの短歌ホームページ「ものぐさ」を開設し、2001年10月に「短歌添削BBS」を設置しましたが、そこに投稿させて頂いた梧桐学の短歌を収納しています。スマートフォンからのアクセスの方は画像のリンクではなくメニューアイコンを開いて各ページへ移動してください。
孫ら去りまた来ては去る新しく生まるる孫もありてよろしも あっけなく転がる蝉の亡骸(なきがら)の陽に灼かれつつ物をこそ思へ 過去といふ影絵の上に今を生き向かふは未来とふまぼろしの洞(ほら) ———————– 人間界俯瞰し適確に制御する存在なきが不幸の根源
(新仮名): こまごまと物持つゆえの物忘れあれ忘れこれ忘れ妻の特技に
この日ごろ帯状疱疹に苦しめば妻の存在がいよいよ輝く
とことこと階下で妻の動く音 これほど我を安堵させるものなし
砂粒のやうなる野の花に夢中になり接写してゐる妻の愛しさ
「まだ良しと訪はざりしこと悔いとなる 弟(おと)が会ひたがりしとそののちに聞きて」(梧桐) 「きやうだい7人 いまに残るは姉ふたりと我のみとなる 寂しからずや」(梧桐)
「聞きたるは物ごころ着かぬ頃なりき亡母(はは)唱ふ御詠歌いまも耳底(じてい)に」
半年ぶりに見舞へばわれ見て「弟にそっくりの人」と姉はのたまふ 「そっくりじゃなく本人だよ」とわれ言へど姉は「そっくり」を繰り返すなり 聞き上手の妻と会話する姉なれどそれがわが妻と知りてと思へず ーーーーーーーーーーーーーー 建築中の高層ビルの鉄骨がどすんと地球に突き刺さり聳(た)つ
余寒とふ語感にまさり冷ゆる宵、妻居るとわかり階下ほの温(ぬく)し
幼児性肥満にありし女(め)の孫が一年の後(のち)に締まりて少女に