スズメらよ何ゆゑ警戒しつつ寄りくるやベランダには水あり餌もあるぞ
憂ふるは核兵器廃絶を説きゐるは核政策立案に無縁の人たち
なにゆゑか雀の数がめつきり減り裏庭の木にさへ来なくなりたり
鋸(のこぎり)に縦引きと横引きの歯のあること知らず無作為に使ひこしかな
ずるずるずると過去へ引き込む唄流れ臍(ほぞ)のあたりが寂しく濡るる
悔やみけり死の床の弟が兄われに会ひたがりしと後(おく)れて聞きて
十幾年ぶり次姉に会ひしは妻とふたり病の見舞ひをせし時なりき
中学時代、卵焼きと梅干の弁当をまだ若き長姉がつくり呉れしかな
何カ月ぶりだろうこの朝の涼風は。写真に撮れるなら撮っておきたい
思へるは役所勤めの三兄が自慢せし‘速記術’今も使はれをるや