尻振りてカラスが前をあゆみ行くちらりと吾を見て横へ逸れたり
こころ当たりのキバナコスモス咲く園に来て妻と散歩す秋の陽のもとに
高度化せし人智と言へど一寸の虫の命さへ作る能(あた)はず
二階より遠方に山脈見えてゐて夕茜に染まらず沈潜してをり
ボクシングに井上尚弥とふ怪物居て世界戦五度目防衛にもケロリとしてをり
歌謡曲にも多くのうつくしい歌詞がある例えば“愛燦燦”などはその最たるもので
満月といへど地球の陰に入り今夜の月は生気うしなふ
常に濁る夜空にめずらしや星一つ輝けるあり正に金星
星座に関する書を読みながら星のなき濁る夜空をむなしく見詰む
生きるため動物の命を戴くが植物の命も合わせていただく