社会詠

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2007年2月15日

  • 2007.02.15

高きほど風走るらし上層の雲が下層の雲を追ひ越す 空籠めて雲がうごめき回りゐて穴より一瞬漏れ陽ありけり 白き筋引き伸ばしつつジェット機の夕焼け雲へ墜ちゆくところ 木曽川が分かれて並流するところ妻と歩みて大河を二度越ゆ 二月半ば河原歩めば雲雀らが枯れ草叢にて遊べるに遇ふ 田園より住宅地へと近付くに人声聞こえ来 婦人か子供か (新仮名): 核軍縮6割したって人類の滅亡回数が20に減るだけ

2006年8月11日

  • 2006.08.11

灼熱の地平に目眩(めまひ)し思へるは憎しみのみに生くる民のこと 一国が他国を空爆、千人余虐殺せるを戦闘と報ず 超大国ひとつのみある現実の危ふさ示すイスラエルの暴虐

2006年5月11日

  • 2006.05.11

花水木は萼にはあらず手触(たふ)るれば人肌のごとしっとりとして 飽きもせず未だに日々(にちにち)幾十人自爆テロにて死ぬイラクなり 自爆テロ記事に飽きたるメディアにて小さく報ず70人死亡と 外壁に沿ひくさぐさの薔薇咲かせこの小医院は心あらはす べっとりと墓地が血塗られ夜陰にあり垣一面の躑躅と知るまで

2006年3月6日

  • 2006.03.06

しづまれる競輪場に照明塔闇空を背にくらぐらと立つ 競輪の開催中ゆゑ夜さへも怒号と喧騒の余韻が渦巻く ギャンブルは違法と言ひつつ公営の競馬、競輪よたよた続く 塀の上に鉄条網を張り巡らす邸宅あはれ処々に蜘蛛の巣 暗き道歩み来て遭ふかうかうと照れる<世界一安値>の看板

2005年12月17日

  • 2005.12.17

空こめて湧く灰色の雪片がビル外壁に白滝ゑがく むらむらと湧きくる雪片行く人の影に純白の層流をなす ——— ビル強度のあるべからざる偽装事件憂ひてこのごろ世は暗澹たり 科学者のモラルは・・・? 難病の治療への夢と喧伝のES細胞は偽造なりとぞ

2004年9月4日

  • 2005.09.04

人間の浅ましき本性極まれり被災地ニューオリンズに略奪相継ぐ 近過去のはや茫々と立ち返る姫路も道後も別府の街も 白鷺の連理の比翼はばたけり姫路の城は時空を超えて 闇深く女人のすすり泣く声すもはら人間(じんかん)の情理を怨み はらわたを揺り動かしてかの調べ陰々とひびき埒も無かりし 大型の台風ゆらゆら海を這ひ不測不明がゆゑの厳しさ 易々と人の命の霧消してイラク北米アフガンを悼む 人の世の行く末暗示するや […]

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