五体、氾濫
- 2012.07.03
不思議なり単細胞が分裂を繰り返しつひにこの五体成す 氾濫の河川の濁流が住宅を襲ふ画像は津波にも似る
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
不思議なり単細胞が分裂を繰り返しつひにこの五体成す 氾濫の河川の濁流が住宅を襲ふ画像は津波にも似る
すれ違ふはおほかた偶然の縁なれど個々にはここ行く必然性あり
あるかなき薄き雲透き半月のわが思惟のごとばうと浮かべる 高揚のあとに襲へる虚無感の夜々に深まるを厭へど如何せん
生(あ)れざるは滅せざる否、生(あ)れもせず滅しもせずとぞ「不生不滅」は
今の世に数限りなき<われ>が在る 唯我独尊 南無阿弥陀仏
遠見にてピンクを刷ける一画に近付けばうれし河津桜なり わが街の138タワーを見上げつつ東京スカイツリーの高さを量る かくほどに無数の悲劇を繰り返す生命(いのち)を造りし神の罪おもふ 一斉は一斎ならず斎場は斉場ならず 斉と斎の話
無念無想 目閉ぢ坐せば地の芯に宙(そら)の果(はたて)に緑の光
土の固さ空の重さの狭間(はざま)にて喘ぎ喘ぎて人々は生く
恩寵に貰ひし命の悲しかる筈のなけれど悲しきが多く 儚しはまさか墓無しとは思はねど無縁墓石ら一所に積まる
つひにわれ衰へたりとは思はねど雀ら久しく来ざるさへ悲し 宇宙開闢を科学も宗教も言ふ即ちその終焉の来んを前提に 単細胞生物に寿命はあらずしてひたすら増殖を続くるのみとは