戸外では突風荒るるに床上にカーテンのレースの影は静まる

災害は不意衝き起こる　未来のこと不可知なるゆゑ死ぬまで生き得（う） －－－－－－－－－－－－－－ ザザッと来し驟雨に物みなずぶ濡れなり天空の＜青＞が墜ちたるらしも

外の面（とのも）なる花らの渇きし声のして閉めし戸を開け水遣りに出づ

出で立ちて深呼吸なし仰ぎ見れば暈にて装ふ楕円の月あり 月に美暈（びうん）かかればやがて雨といふ経験則は人の世にこそ

操るは人にて車が歩行者ら薙ぎ倒すてふ不届きもなす 操るは人なればバスが壁などに激突し多くを殺むることも

行きずりに頭脳の隅に刻まれし鮮やかな白は初咲きの躑躅

しっとりと春雨に濡れハナミズキ艶（えん）に透けつつしらじらと咲く

さながらに白き魂ただよへり夕光（ゆふかげ）の中に咲く花水木 眼下（まなした）に広がり咲ける花水木街灯のもとほの赤く照る

咲き満つる花水木にいま午後の陽の当たりてまばゆし憂鬱なまでに 雀用の餌を啄む雉鳩に小さきも居て春の子鳩か

不器用に雀ら飛ぶ中すぢ引きて目の前よぎりし初燕うれし デジカメにて太陽をもろに撮りたれば暗黒に浮く白球写る 肝据ゑて太陽をまともに観てをればこの身たちまち融けゆくごとし