口語短歌と文語短歌
秋色をほのかにふくみやわらかく
老犬の寝息
木犀のかほり(fumikoblueさん2002年11月6日)
まず、少なくともここでは、短歌は間を開けずに、ひと息で書くようにして下さい。それは、本来(原則として)短歌はひと息に詠む(かつ読む)ものだからです。ある種の効果を狙って、部分的に間を開けたりすることはありますが。
各句ごとに間を開けたり、3行書きをされるのは、例えばNHK歌壇や歌碑などの影響でしょうか。それらは、一行に収めると、文字が小さくなってよくない、という単純な理由からです。また、関連して、読み易さを考えてのことかもしれません。一方、啄木などは後年の口語的短歌で(仮名は旧仮名)、3行書きを積極的にやりましたがね。行を変えるごとに、その屈折点で何か思いを詰め込んだのかもしれません。読者にはなかなかそこまでは読み切れませんが。
さて、このお歌ですが。一首は口語新仮名遣いか文語旧仮名遣いに統一するのがいいです。(困ったことにNHK歌壇では平気でこれらまぜこぜの歌が披露されているようですが。せめてもの節度として、一方に統一してほしく思います。もっとも、これもあくまでも原則でして、とくに語感を良くしたり整えるために、文語短歌に新仮名遣いを入れたり、また逆をやることはあります。しかし、それは意図的にそうしているのであり、それなりの効果を得るのが目的です。単に野放図に両方まぜこぜをやることはまずいと思います。)ですから、まずこれから詠もうとする一首をどちらで詠むかを決めないといけませんね。(別の歌はまた別に考えるのです。作品全部をどちらかに統一するのではなくて。詠もうとする内容によっては、どちらかがいい、と大抵は判断できるものです。人により、トータルとして、文語短歌が多い、ないしほとんど、ということはあり得るし、また逆もあり得ますね。)この歌は文語仕立てですね。すると、「やはらかく」であり、「かをり」です。(このBBSではこれまで何度も書いたことですが、「かほり」はミス、「かをり」です。)
老犬の寝息に気をとめられた点は異色ですね。
添削:
「秋の色ほのか滲(にじ)める やはらかき老犬の寝息と木犀の香と」 (fumikoblue)