理屈っぽくならないように
「あれやこれ 忘れた妻の ひとりごと 雪ふりやまず 共にハミング」 (豊子さん2003/04/07)
「うつろなる 婆の手をとる おさな子に 風さそいてか 桜舞ちる」(豊子さん2003/04/07)
短歌は俳句に比べれば余程約束事の少ない短詩形です。五七五七七という定型が基本ですが、字余り字足らずも効果があるときや、気にならないときなどには使います。文語旧仮名遣ひでも口語新仮名使いでもいいですが、ただ一首の中ではなるべくどちらかに統一するようにします。根本は、説明や理屈ではなく感動を伝える、ということですね。もちろん、感動と一口でいいましても、個人的なもの、普遍的なもの、景色、感情、意識、無意識、過去・現在・未来のこと、、、などなど正に千差万別、無限無数の種類がありますね。ですから、短歌の可能性は無際限です。
歌ですが、添削するには、その背景に関する知識がわたしになく、本来の趣旨から外れることもあり得ます。
添削:
「世のなべて忘れし妻はひとりごつ雪も降り出でともにハミング」(豊子)
(「なべて」は「全て」、「ひとりごつ」は「ひりごとを言う」の意味です。)(豊子)
「痴呆なるお婆の手を取り風のむた幼子(をさなご)いざなふ桜散る辺(へ)に」(豊子)
(「風のむた」は「風と共に」の意味です。)