区切れ
「秀吉にゆかりの深き黒金糯雄の老樹なり秋空に伸ぶ」(広)
秀吉が朝鮮に勢力を伸ばすため当地まで出かけた際に同人から授かったクロガネモチだそうです。老樹ながら今も立派で県指定の文化材です。これまで添削を受け,4句切れがいいかなと思い字余りながら作りました。
十六世紀の末の方になって政治的最高権力者になった秀吉は、気宇壮大な領土拡張構想を練り上げていたようですね。国境というものが今ほど明確ではなかった当時、ヨーロッパ列強がそうしたように(彼らは東南アジアまで触手を伸ばして来た)、日本とて周辺の国々への進出を考えることは、あながち無法ではなかったのですね。朝鮮半島経由で(当時の)明国に攻め入り、政権を獲得して、北京に天皇を迎え、自分はもっと海岸よりの都市に政庁を構え、天皇よりさらに上の皇帝としてアジアに君臨しようとした(後の大東亜共栄圏に相当するような組織体の構築を考えていたらしい)。その意気やよし、です。当時すでに明国は弱り果てていたので、全くの誇大妄想でもなかったのですね。ただ、他国へ侵攻するにしては戦闘準備が十分ではなかった、兵はたちまち疲弊してしまった。かくて惨めな退却を余儀なくされた・・・。
添削:
「秀吉にゆかりの深き黒金糯いま老樹として秋空に聳ゆ」(広)
なお、四句切れが良い、というわけではありません。その歌にはそれが良い、ということです。歌ごとに考えるべきことです。本来は、短歌はひと息に詠み下すのが理想ですね。ただ、短歌にはまた、色々な形式に対する順応性があるということです。どんな形式であれ、それなりの必然性が感じられなければならないでしょう。