Flightradar24 投稿者:
医師脳 投稿日:2025/05/22(Thu) 16:06 No.4712 |
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チャイナ製のADS-B受信機買ひFlightradar24の一翼担ふ(医師脳)
航空機が1090MHzの電波を発するのは、主に航空交通管制(ATC)における航空機の監視と情報共有のためです。 この周波数は、**二次監視レーダー(SSR: Secondary Surveillance Radar)およびADS-B(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast)**という重要なシステムで利用されています。
仕組み
1090MHzの電波が利用される主な仕組みは以下の通りです。
トランスポンダ(Transponder) 航空機には「トランスポンダ」と呼ばれる装置が搭載されています。 これはTransmitter(送信機)とResponder(応答機)を組み合わせた造語で、地上のレーダーからの質問信号(通常1030MHz)を受信し、それに対して応答信号(1090MHz)を返す役割を担います。
モードA/C: 初期には、航空機の識別コード(モードA)や気圧高度(モードC)を返信するシンプルなシステムが使われました。
モードS(Mode Select Beacon System): 現在主流となっているのはモードSトランスポンダです。 これは、地上からの特定の質問に対して、その航空機固有の識別情報、高度、速度、さらに詳細なフライトデータなどをデジタルデータとして1090MHzで返信します。 これにより、地上の管制官は個々の航空機をより正確に識別し、状況を把握できます。 また、地上の管制局からの質問に加えて、航空機自身が自律的に情報を放送する機能も持ちます。
ADS-B(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast): モードSトランスポンダの機能拡張として、ADS-Bというシステムが導入されています。 ADS-Bでは、航空機がGPSなどの衛星ナビゲーションシステムから取得した自身の位置、速度、高度、識別情報などのフライトデータを、定期的に自動的に1090MHzで「放送(Broadcast)」します。 この放送された情報は、地上の受信局だけでなく、周囲を飛行している他の航空機も受信できます。 これにより、管制官は従来のレーダーに比べてより正確で詳細な情報をリアルタイムで把握でき、航空機同士も互いの位置を把握することで衝突回避に役立てられます(TCAS: Traffic Collision Avoidance Systemなど)。 従来のレーダーではカバーできない海上や山岳地帯などでも、ADS-Bは有効です。
起源
1090MHzの電波利用の起源は、**第二次世界大戦中の「敵味方識別装置(IFF: Identification Friend or Foe)」**に遡ります。
初期のレーダーとIFF: 1930年代にイギリスで防空レーダー網の建設が始まった際、レーダーで探知した航空機が敵機か味方機かを識別する課題が生じました。 そこで、味方機には特定の電波を受信すると自動的に応答する装置(トランスポンダの原型)を搭載し、その応答があるかないかで敵味方を識別するというアイデアが生まれました。
民間航空への応用と標準化: 戦後、この技術は民間航空交通管制に応用され、航空機の安全な運航のために発展しました。 国際民間航空機関(ICAO)によって、SSRの周波数として質問信号に1030MHz、応答信号に1090MHzが国際的に標準化されました。 これにより、世界中の航空機が共通のシステムで監視されるようになりました。
モードSとADS-Bの進化: 航空交通量の増加や、より高精度で効率的な監視の必要性から、モードA/CからモードS、そしてADS-Bへと技術が進化してきました。 特にADS-Bは、従来のレーダー監視を補完・代替する次世代の航空交通管理システムの中核として、多くの国で導入が進められています。
まとめると、航空機が1090MHzの電波を発するのは、航空機の安全な運航と効率的な航空交通管制を実現するための、国際的に標準化された情報共有の仕組みであり、その起源は第二次世界大戦中の敵味方識別システムにまで遡ります。
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