2004年10月18日(月曜)
- 2004.10.18
天の底抜けたるごとく澄み渡る大空を航(ゆ)く鳥はばたかず 木下なる狭庭の隅の暗がりに昼鳴く虫のそぞろにゆかし 月もなき夜の社殿の碑の下をふたつ眼(まなこ)を光らせて猫
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
天の底抜けたるごとく澄み渡る大空を航(ゆ)く鳥はばたかず 木下なる狭庭の隅の暗がりに昼鳴く虫のそぞろにゆかし 月もなき夜の社殿の碑の下をふたつ眼(まなこ)を光らせて猫
結ばれし縁(えにし)の大切知ればこそ妻の失言も愛語にひびく
澄みわたる空に満ちたる気の波をかき回しつつ鴉ら乱舞す あふられて群生コスモスくさぐさの彩(いろ)の墨もて虚空を刷きをり ストレスの下痢を誘ふは現代病などとテレビが今更に言ふ
救急のサイレン無粋に思はれて真夜に石榴の傷のかなしさ
最強との脅し文句を伴ひし台風も逸れ虚脱感あり 延々と台風特番続くからあくびなどして秋晴れを恋う お風呂場で突然湧き出る《ナポリの歌》高校唱歌を腹底より歌う (新仮名)
秋雨のひややかにして静かなり猛烈台風海より近づく 大地震(おほなゐ)も雷雨も火事も台風も怖し自然はなべておそろし 中心の気圧が920にて最大級とぞテレビはおどす 台風の予想進路一帯に暴風洪水警報が出て 台風の逸るるを望めど襲はるる地方を思へば穏やかならず
路地裏の闇に群れ咲く赤と黄のハイビスカスに脅かされつ 女といふ性のあはれさ強さなど思ふ目前(まさき)に朱のハイビスカス 男といふ性の靭(つよ)さや脆さなど考へ歩むに月影蒼し
イチローがメジャー年間最多安打記録しマスコミただに沸きかへる 五年ぶり優勝果たしし中日の恩恵に浴す妻は主婦ゆゑ さめざめとまたしくしくと秋の雨たましひ冷やしてひと日続けリ 立待も居待、寝待もはや過ぎて今宵の月の痩身あはれ ------------☆ 人生に意味を定むるむなしさに汗したたらせ幾世代経し 性的な遊びをせんとや生まれけむ輪廻転生嗤はば嗤へ
名月は焦(じら)すがごとく雲間より須臾(しゅゆ)の間ぼんやり顔見せしのみ 台風の去りてやや冷ゆあをあをと地を濡らしつつ空は霽れたり 名月も十六夜(いざよひ)も見ず立待の月を待ちかねしばしば庭に出づ 名月の二日遅れを恨むまじ風にも飛ばず在りしを幸とし
雨浴ぶる樹木にひそみ雀、ヒヨ、ひたすら耐へて寡黙に動かず 中秋の名月の先取り:- <名月>は雨かもしれず前の夜のまぁるき月を存分に賞(め)づ 虹の暈かかる円月を核として白き綿雲果なくひろがる