2006年5月12日
- 2006.05.12
グランドの照明を背に大量の光はらめるメタセコイアら 少年ら照明の下グランドにサッカーボールを追ひ合ひてをり
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
グランドの照明を背に大量の光はらめるメタセコイアら 少年ら照明の下グランドにサッカーボールを追ひ合ひてをり
花水木は萼にはあらず手触(たふ)るれば人肌のごとしっとりとして 飽きもせず未だに日々(にちにち)幾十人自爆テロにて死ぬイラクなり 自爆テロ記事に飽きたるメディアにて小さく報ず70人死亡と 外壁に沿ひくさぐさの薔薇咲かせこの小医院は心あらはす べっとりと墓地が血塗られ夜陰にあり垣一面の躑躅と知るまで
赤信号、車列の尾灯のともるとき闇の街路が血を噴くと覚ゆ
笑ひより嘆きが勝る人の世の黄砂に霞む三日月も星も
1ミリの線虫の遺伝子6割がひとと同じといふことの意味は 裏のビルに冬の太陽を奪はれしが入居者ゼロなぞ望みしや 否 通説に猿からヒトが出来しといふ今60億人その中の一人 60億の中の一人の気軽さにひと皆地球を踏みつけて生く
逍遥す花の季節を寿ぎて 桃花御衣黄その他もろもろ あでやかなるパチンコ店のネオンより鬼の悲鳴のごとき音たつ
白く照るチューリップの花の内にして小さき蜘蛛の巣を張るあはれ びっしりと紅芝桜の花敷くにひとつ白なる異端かなしき
散り急ぐ桜は遠見に赤さ増す萼の色とは知れどうれしき 咲くに遅速ありしが散るもさもあるべし塊をなし頑張る花あり 八分かた散りし桜ら一樹のみ白冴え冴えと咲き残りたる
咲けば散るほかなき桜花(はな)を雨打ちて道一面にびっしりと撒く 雨桜観ての帰り路街灯を透かして傘に花びら幾片 傘に享けし多(さは)なる花弁を留守居せし妻にみやげと言へば微笑む
一キロもある両岸の桜並木咲きゆく順はランダムにして 今日ひと日強風あれど川沿ひの桜並木は満開を誇る 重たげに枝撓ませて満開の桜は幹のどっしりと構ふ 群がれる花びら貫く枝枝の存在感よ夜桜は殊に 下方より桜花照らされ純白の雲の上辺(うはべ)は闇に溶け入る