とどろきて吾が裡に鳴る雷(いかづち)をああいかんせん鎮めかねつも
その寿命百年に満たぬ人間が数十億年後の地球を憂ふも
「たけくらべ」その肉筆の原稿から樋口一葉の息遣ひ感ず
1尺と1フートがなんとほぼ同じ偶然といふもの世にあるものなり
凝り固まりし思考の毛玉をほぐすさへ楽音の侵蝕を許す安易さ
「宙に舞ふ微塵のひとつひとつにも宇宙が在ると言ひし人はや」(あおぎり)
大木にあらねど家の前に立つ花水木の払ふ無尽数(むじんず)の枯葉
混乱する我が思考さへ鎮めむか一滴の美音、一つの名曲
植物中もつとも古き‘種(しゆ)’とあれば黄化(わうくわ)せし公孫樹(いちやう)のいと神々し
惜しみなく天は素裸の空を見せヒヨドリ・スズメ・鳩ら飛ばしむ