国民がコロナ・ボケの間(ま)に思慮浅き政治家すすむる軍拡の闇
しばらくは数減りゐたれどスズメ子らふたたびわんさと餌にむらがる
スカートめくれ両脚あらわに女高生ら寒き朝(あした)を自転車登校
たたら踏む陰の心をまつぶさに人に語らむ衝動を鎖(さ)す
寂しさは白昼にこそあるめりとひたすら蒼穹を撮りまくるなり
黄の点に写れる星をいつぱいに拡大すれば赤き火星なりき
昇りくる日にさきはひを覚ゆればそれにてけふも太平ならむ
短歌とふ詩型の未来を問ふ勿れただ只管(ひたすら)に詠むべかりける
宇宙的さびしさなどと言ふなかれ木星やけに輝く宵なり
生あれば死あるとふ世の理(ことはり)を嘆かふべしや嘆かざるべし