世界三大織物地域の一つとしてわが一宮市が挙げられさもありなんと
十幾年ぶり次姉に会ひしは妻とふたり病の見舞ひをせし時なりき
かしましき。餌のまはりで雀らが井戸端会議のやうにしゃべり合ふ
古葉(こば)の深緑、若葉のさ緑こきまぜて風と陽を受け黐木(もちのき)万華鏡
黄の点に写れる星をいつぱいに拡大すれば赤き火星なりき
男には詠めぬ事あり「仔熊抱く三つめの乳房のやうに」
抜け羽根の路上に落ちゐてあはれなり雀か鳩なり鴉にあらず
蝉絶えし朝の散策たかだかとこほろぎ鳴けり常のくさむらに
投下の日を有難がるごと「原爆の日」と呼びなれてあはれ日本人われら
涼風吹く快晴の朝を撮らむとし風は写らぬとあきらめて止む