土鳩一羽電柱の天辺(てつぺん)にて悲しげに鳴く常に番ひなりしが連れはいづこぞ
「“神仏”と言ふなれど“神”と“仏”とはいかに役割分担なすにや」
過去に見し記憶なきジョウビタキこの冬はしばしば飛び来、今また屋根に
人の身体(からだ)宇宙開闢以来の極微粒子あつまりて成ると思へば尊し
島の数一万五千ちかくといふ日本もまんざら狭くはあらずか
冷たくて思はずかざす掌(て)あたたかし点けしつもりの電気ストーブ
たまさかに隣家の屋根を走りゐる番(つがひ)のジョウビタキに思はず声掛く
ひたすらに美しきもののみを詠みゆかむ過去生のシミなど拭ひ取るべく
電線が多すぎるなどと嘆くまい 雀・椋鳥(むく)・鳩・鴉などとまりては鳴くよ
その寿命せいぜい百歳の人間が宇宙はいくつも在るなどと論ず