夕べには青空も見えてゐたりしが夜に入り突如雷鳴とどろく
浮沈艦とふあの‘大和’さへあつさりと撃沈されぬ巨体を三分されて
八月半ば、つひに消えたり蝉時雨、朝ごと流れ親しみたりしに
漢字にもその構成が腑に落ちぬものありたとへば「毒」などその典型なり
清朝(しんてう)の乾隆帝(けんりゆうてい)は最強にして生涯で十万首もの漢詩を詠みき
日本の民謡集を聴きゐるにいづれにも奥底に悲哀ゆらめく
日航機墜落事故に散りてあはれ九ちゃんの「上を向いて歩こう」の無残
心奥に深き悲しみ秘め込めて神は‘生命’を創り賜ひしや
日本はまだ米国の飼犬か米軍基地負担金だんとつの年五十億ドル
玄関先に蝉のなきがらがころがれる もう十分に此の世を楽しんだか