紫陽花の華の緑の濃くなりてとなりの白紫の花に沈むも
み仏の施無畏印と与願印、真似るだけなら容易なれども
身の裡にばくだん抱ふるごときかな大日輪がじわじわ昇る
たまさかに鏡に向けばありありと「生涯在鏡中」とふ詩句が浮かび
あはれなり細川ガラシャ、光秀の娘にしてクリスチャン、最期は自害す
荒井里桜のヴァイオリンの音(ね)のきんきんと宇宙を満たしなほ止まざれば
感慨と気概の「がい」の違ふ意味、人は知るなく大人となりき
カラス二羽ビル屋上に寄り添ひてキスの仕草もなすにあてらる
信長は本能寺に倒れしといふ通説、その遺体なぜか見つからざりき
梧桐(あをぎり)の琴は唐にも日本(やまと)にもありきそが持つ神音(しんいん)ゆゑに