ひらめきて金魚ら時に襲ひ合ふを至上の美とさへ観るは邪心か
意識の奥、そのまた奥の奥の奥、鈍く青白き命の影あり
半世紀余も前のことなれど訪ふたびに母は吾が消ゆるまで見送りましき
「モーツアルトはベートーヴェンとは大違ひなだらかに始まりなだらかに終る」(あおぎり)
大自然に比すれば余りに小さくて我らチマチマと生くそれも必死に
インドの人口ほぼ十四億三千万人、増加の速さにただ驚きてをり
ショパンの曲が書斎を満たしひびきゐるピアノの美音の極致なりけり
平均株価が日本とアメリカで三万台、だけど円とドルの違いがあるよ
かしましく近くの公園で蝉たちが命つくしてこの世を謳歌す
いちめんに空に張りたる雲の膜しろじろとしてシミ一つなし