今日の歌 

「渡りゆく長良川上花火乱舞 西に三日月しんと鎮まる」

これは実景をそのまま詠んだ歌です。だから「渡りゆく」も事実そのままで、細工なしですよ。花火が打ちあがるのは東の方で、西にたまたま三日月。三日月だったからよかったわけですね。「しんと鎮まる」が生きる。これが満月だったら、これも結構派手ですから、歌の感じや趣旨も変わったものとなったでしょう。
 もちろん、いつもいつも事実として目に見える物だけを詠うわけではありません。心象風景を詠ったり、実際の景色を少し変更して短歌として一層効果的にするとか、ということもしばしばです。天才ではない以上、作歌にもそれなりの年季が要るようです。(天才とて、それなりの努力はするでしょうしね。)

「大玉が破裂し空より河の面(も)をギラギラ焦がす 鮎の絶叫」

「間近にて見し花火いま遥かなる北にあぶくのやうにをどれる」

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