2004年9月4日

人間の浅ましき本性極まれり被災地ニューオリンズに略奪相継ぐ

近過去のはや茫々と立ち返る姫路も道後も別府の街も

白鷺の連理の比翼はばたけり姫路の城は時空を超えて

闇深く女人のすすり泣く声すもはら人間(じんかん)の情理を怨み

はらわたを揺り動かしてかの調べ陰々とひびき埒も無かりし

大型の台風ゆらゆら海を這ひ不測不明がゆゑの厳しさ

易々と人の命の霧消してイラク北米アフガンを悼む

人の世の行く末暗示するやうに水より淡き曲想流る

ドカンドカーン地を裂く音のしきりして花火は末期の輝きに消ゆ

美しき過去と濁れる未来とのはざまに悶ゆ君らもわれも

ここにしてふと顧るわが生は砂漠に蟻の一筋の跡

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