量子物理は物と空（くう）とは等価と言ふ　色即是空空即是色

『「受け」がいい』の「受け」は「受ける」の連用形、その名詞化が「受け」と皆知る 「情け」の「け」がどうも気になる、これがどうして必要なのか連用形でもないのに

雪片に紛ひて降れる花びらの河水に着きてののちも止（とど）まらず 散りしまく花片（はなびら）哀しひとひらごと翻りつつ目路（めぢ）かき乱す

美醜とは皮相のことと“九相図”語る。否それゆゑにこそ肉は尊 死してより白骨化しゆく過程の絵も死後すぐ灰となる今は仮想

青空をそがひに桜花は真白に冴えヒヨドリ一羽しきりに蜜吸ふ －－－－－ あやにくの曇天なれどもその所為（せゐ）か桜花は淡きくれなゐにけむる －－－－－ 紫木蓮せいいつぱいに咲きゐしが今や花弁は触るれば落ちて

雌雄生殖は神の粋な計らひなり単性生殖の味気なさ思へば

太陽の消滅は数十億年さき我らの消滅は一瞬の内ぞ その顕現が今より数十億年先といふ弥勒菩薩は太陽の転生？

般若心経に意味ありて無し寂しければ大声で唱ふ二度また三度 並み立てる河岸（かし）の桜らほの赤し花びら覗く無数の蕾

白雲が大いなる鳩の形となり新築庁舎を覆ひてたゆたふ 政策への批判を一切うけつけず独裁政権への道を行く人

過去の大戦、直前まで誰も予期せざりき。瑣事を切っ掛けに始まりし知れ 首相言ふ不戦のための軍強化と。敵を作るのが平和とは笑止 －－－－－－－ 咲くことを誰も期待せぬ場所に八重の大きな水仙頭（づ）を垂る