残暑の候などとは言ふまい今日もまた殺人的暑さに辟易してをり
脳髄の奥の奥から染み出づる亡母(はは)の声なりああご詠歌だ
狭めてある餌場にスズメら順番を待つとて欄干にずらりと並ぶ
朝出でて聞くが楽しみの蝉の声が日々細りゆく寂しき晩夏
何兆個もの星が一斉に爆発する夢をうつくしと見しこともあり
「今日午後に雨が降る予定です」と天気予報士がのたもうてをり
スズメにも個性はありや人を見てすぐ逃ぐるありじっと見るあり
高校時代の同窓誌に見る仲間らの多方面での活躍を嘉す
これも個性?テレビなど観ているようで観ていない僕と観ていないようで観ている妻と
少年期にクマゼミを「ゴリンバ」と呼んでゐきそのわけ知らぬまま八十年過ぐ