飛びはせで道路を歩くカラスとハト。その後ろ姿が似てゐてをかし
観梅に妻と来たれど梅の並木みな蕾状態、例外をさがす
広島の被爆樹木の中にして梧桐(あをぎり)もありと知りて悼めり
風強く窓の隙間が唸るなり去りゆく冬の断末魔と聞く
雛段を幾種も飾る神社ありて妻の少女心に従ひ訪ぬ
あるときは空に浮かべる雲塊(うんかい)が重量感もちて頭上に迫りき
サイレンを鳴らして走る車多しパトカーなのか救急車なのか
戦後とふ語の襞(ひだ)徐々にうすれゆきこのまま寧日(ねいじつ)の続くを願ふ
やや近き電線上にカラス居てカメラ向ければカ~と飛び去る
このごろスズメら食欲旺盛と思ひきやおほかた野バトがエサを食ふらし