生きてなほ空しさはあり宇宙にていかに鐘打てど響かぬごとく
天上の曲流れつつまどろむにそを創る人間が今も殺し合ふ
大自然に比すれば余りに小さくて我らチマチマと生くそれも必死に
生きてきて何を悔やむや業績表見ればこれしきの人生にして
漢詩にて「我神」とあるをある本は「わがたましい」と訳せり なるほど
西の涯(はて)に向きてほそぼそと歩みゆく法師の絵をみて肝冷えにけり
たまさかに鏡に向けばありありと「生涯在鏡中」とふ詩句が浮かび
脳内につと溢れくる感情ありヒヨドリ一羽「チー」と叫びて
入神の業(わざ)といふことこの頃は自分に求むる思ひの強し
ジリジリと脳(なづき)の中を蟻が這ふその一つだに殺せぬ焦り